【初心者向け】オンプレとは?クラウドとの違い・メリット・デメリットをわかりやすく解説
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初めに
さらに、導入のメリット・デメリット、企業が今でもオンプレを選ぶ理由までを体系的に整理し、IT初心者や社内SEの方でも理解しやすいよう、具体的な事例と図解イメージを交えて紹介します。単に用語の説明を並べるだけでなく、「自社のケースではどちらを選ぶべきか」を考えるヒントになるよう、判断のポイントもまとめていきます。
「オンプレとは何か」を正しく理解することは、クラウド時代においてもITリテラシーの基本。システム導入やIT戦略に携わるすべての方に役立つ内容です。
オンプレとは?意味と仕組みをわかりやすく解説
「オンプレミス(On-Premises)」の言葉の意味
「オンプレミス(On-Premises)」とは、「自社(premises:敷地内)で運用する」という意味の英語表現であり、IT分野では自社の設備内にサーバーやネットワーク機器を設置して運用する形態を指します。略して「オンプレ」と呼ばれ、クラウドコンピューティングの登場以前は、自社あるいは専用データセンターの物理サーバーを利用する“オンプレ型”の運用が企業システムの主流でした。
オンプレの特徴は、機器・データ・システムを自社の管理下に置けることです。ハードウェアの購入から構築、ソフトウェアのインストール、運用・保守までを企業が自前で実施するため、構成を自由にカスタマイズできる反面、初期費用や維持コストが高くなりがちです。
オンプレ環境の基本構成(サーバー・ネットワーク・ストレージ)
オンプレ環境は以下の3つの主要要素で構成されています。
- サーバー:アプリケーションやデータベースを稼働させる中核機器。
- ネットワーク機器:LANケーブル、ルーター、スイッチなど通信を制御する装置。
- ストレージ:業務データやログ、アーカイブを保存する機器。
企業によっては、自社ビル内にサーバールームを設け、空調・電源・セキュリティを完備した環境で24時間体制の運用を行っています。温度や湿度の管理、無停電電源装置(UPS)や発電機の設置、入退室管理の徹底など、物理的な対策もオンプレ運用には欠かせません。
オンプレの利点は、障害発生時に即座に物理的な対応ができること、外部ネットワークを経由しない閉域構成を組めることなどです。一方で、設備の老朽化対策や人材の確保といった課題も伴います。サーバーやストレージの更新タイミングごとに、まとまった投資と綿密な移行計画が必要になる点も、オンプレ特有の難しさです。
オンプレとクラウドの違いを徹底比較
クラウドとは何か?基本概念の整理
クラウド(Cloud)とは、サーバーやストレージなどのリソースをインターネット経由で利用できるサービスの総称です。利用者は自社でサーバーを購入・設置せず、AWS・Microsoft Azure・Google Cloudなどの外部事業者が提供するインフラを「借りる」形で活用します。
そのため、導入スピードが速く、初期費用を抑えながらスモールスタートできる点が特徴です。
クラウドには大きく分けて以下の3種類があります。
- IaaS(Infrastructure as a Service):サーバー・ネットワークを提供する基盤サービス
- PaaS(Platform as a Service):アプリ開発に必要な環境を提供
- SaaS(Software as a Service):完成済みのソフトウェアを利用(例:Google Workspace、Salesforce)
企業は目的やスケールに応じてこれらを組み合わせ、最適なシステム構成を実現しています。
オンプレとクラウドの構成・管理・コスト比較表
オンプレは自社独自の要件を満たす構築が可能ですが、クラウドは手軽かつ拡張性が高く、スタートアップ企業を中心に急速に普及しています。最近では、大企業でも新規サービスや検証環境はクラウド、本番の基幹系はオンプレといったように、用途に応じて使い分けるスタイルが増えています。
どちらを選ぶべきか判断するポイント
両者の選択は「どちらが優れているか」ではなく、「どんな業務に最適か」で決まります。
判断基準として以下の観点を整理しましょう。
- セキュリティ要件:情報を外部に出せるかどうか
- コスト構造:長期的な運用費用の見積もり
- 運用体制:専門人材の有無
- 可用性と拡張性:システム負荷に応じた拡張の容易さ
近年では、両者を組み合わせた「ハイブリッドクラウド」や「マルチクラウド戦略」を採用する企業も増加しています。
オンプレのメリット・デメリット
オンプレの主なメリット(セキュリティ・カスタマイズ性)
オンプレの最大の利点は、完全な管理権限を自社が持てることです。ネットワーク設計・アクセス制御・データ保存場所をすべて自社で決定できるため、セキュリティ要件の厳しい業種には最適です。
また、クラウドでは制約のあるアプリケーション設定や独自システムとの連携も、オンプレなら柔軟に実装できます。
例えば、製造業では工場内のIoTデバイスやPLCと連携するため、クラウドよりも低遅延で制御可能なオンプレ環境が選ばれるケースがあります。
さらに、社内ネットワークのみで閉じた環境を構築できるため、情報の所在やアクセス経路を細かくコントロールしやすくなります。
オンプレのデメリット(コスト・運用負荷)
一方で、オンプレにはいくつかの明確な課題があります。
- 初期投資が大きく、サーバーやラック、電源・空調設備まで必要
- 維持費(電気代、保守契約、人件費など)が恒常的に発生
- 災害・停電リスクを自社でカバーする必要がある
- システム障害時の復旧責任が自社にある
特に中小企業では、IT人材の確保や24時間運用体制を維持することが難しく、**「管理コストの重さ」**がクラウド移行を検討するきっかけになることが多いです。
オンプレが今でも選ばれる理由とは?
高セキュリティ・法規制対応が求められる業界例
オンプレが今なお根強い支持を得ている背景には、業界特有の規制があります。
金融、医療、官公庁、防衛、研究機関などでは、個人情報・機密情報を取り扱う際のクラウド利用について、法律やガイドラインで厳しい条件が定められています。
たとえば医療機関では「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」により、患者データをクラウドなど外部環境に委託する際の要件が細かく規定されています。
要件を満たすクラウド環境も存在しますが、条件が厳しく運用も複雑になりやすいため、データを物理的に自社施設内で保持できるオンプレ環境が選ばれるケースも少なくありません。
クラウド化しにくい既存システムとの親和性
大企業を中心に、長年にわたりオンプレ基幹システムを稼働させているケースも多く見られます。
こうしたシステムは業務フローに深く組み込まれており、単純にクラウドへ移行することが困難です。
再構築には多額のコストが発生するため、「既存資産を最大限活かす」という観点からオンプレが維持されています。
特にERPや生産管理システムなど、クラウド互換性が低いアプリケーションではこの傾向が顕著です。
オンプレからクラウドへ移行する際の注意点
データ移行・セキュリティポリシーの確認
クラウド移行の際には、まずデータの分類・重要度に応じて移行対象を精査することが欠かせません。
すべての情報をクラウドに移すのではなく、守るべきデータと共有すべきデータを分ける設計が重要です。
さらに、クラウド事業者ごとにセキュリティの範囲(責任共有モデル)が異なるため、契約前に暗号化やアクセス権設定の仕様を確認しましょう。
ハイブリッド運用という選択肢
最近では、オンプレの堅牢性とクラウドの柔軟性を両立する「ハイブリッド運用」が注目されています。
たとえば、顧客情報や会計データなどはオンプレで管理し、テスト環境や分析業務のみをクラウドに移すケースです。
このように役割を明確に分けることで、コスト最適化とセキュリティ維持を同時に実現できます。
導入判断を成功させるためのステップ
- 現行システムの課題を棚卸しする
- 移行に伴う費用・リスクを可視化する
- クラウド提供事業者の信頼性・サポート体制を確認する
- 段階的な移行計画を立てる(PoC→部分移行→本格導入)
段階的なアプローチを取ることで、システム停止リスクやデータ損失のリスクを最小化しながら、安全な移行が可能になります。
まとめ
オンプレとは、自社施設内にサーバーやネットワーク機器を設置して運用する形態であり、クラウドとは異なり自社完結型のインフラ構成が可能です。
クラウド全盛の時代においても、オンプレが選ばれ続ける理由は、セキュリティ・法規制・既存資産との親和性にあります。
重要なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「自社の目的に合っているか」です。
クラウド化が進む今だからこそ、オンプレの特性を正しく理解し、最適なIT戦略を立てることが企業競争力を左右します。
システム構築やクラウド移行に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
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