SREとは?DevOpsとの違い・役割・導入ステップを徹底解説|安定運用と開発速度を両立する仕組み

公開日:2025/12/25 更新日:2025/12/25
  • Web開発
  • アプリ開発

SREとは?DevOpsとの違い・役割・導入ステップを徹底解説|安定運用と開発速度を両立する仕組み

公開日:2025/12/25 更新日:2025/12/25
  • Web開発
  • アプリ開発

初めに

近年、サービスの複雑化やクラウド化が進むにつれ、障害対応や運用負荷の増加に悩む企業が増えています。その中で注目を集めているのが「SRE(Site Reliability Engineering)」です。SREは、サービスの信頼性を高めながら開発速度を落とさないためのアプローチであり、Googleが提唱したことで世界的に広まりました。しかし「SREとは何をするのか?」「DevOpsとどう違うのか?」「自社に導入できるのか?」といった疑問は多く、体系的に理解するのが難しい領域でもあります。本記事では、SREの役割や導入ステップ、実践のポイントまで、これから取り組みたい企業にも分かりやすく解説します。

SREとは?概念・目的・誕生の背景

SREは、サービスの信頼性を高めつつ、開発速度を落とさずに運用を行うためのアプローチです。従来の運用では、人手に頼る部分が多く、障害対応やリリース作業が属人化しがちでした。SREはこうした課題を解決するため、ソフトウェアエンジニアリングの手法を運用に応用する形で生まれました。

システムが複雑化する現代では、障害が直接ビジネスやユーザー体験に影響するケースが増えています。単純な運用作業の自動化だけでなく、指標に基づいた意思決定や開発チームとの協働が不可欠となっており、SREの重要性はますます高まっています。

SREの定義と基本思想

SRE(Site Reliability Engineering)は「サービスを信頼性高く提供し続けるためのエンジニアリング手法」です。従来の運用とは異なり、SREは単なる障害対応や手動作業の削減だけでなく、サービスの品質と開発速度の両立を目的としています。

中心となる思想は以下の3点です。

  • 運用の自動化(Toil削減)
    日常的で繰り返し発生する作業を自動化することで、人的負荷を減らしつつ、安定したサービス運用を実現します。単純作業を自動化することで、エンジニアは価値の高い改善活動に注力できます。
  • リスクの許容とコントロール
    SREは「完璧な安定性」を目指すのではなく、ビジネスやユーザー体験に応じた妥当なレベルで信頼性を維持することを重視します。これにより、新機能開発と安定運用のバランスを取りながらサービスを成長させることが可能です。
  • データと指標に基づく意思決定
    障害率や可用性といった定量的な指標(SLI/SLO)に基づき、開発や運用の意思決定を行います。これにより感覚や経験則に頼らず、客観的にリリースや改善の優先順位を判断できます。

SREは単なる運用担当ではなく、開発と運用の橋渡し役として、サービスの品質を維持する専門組織として機能します。

GoogleによるSREの誕生と普及の経緯

SREはGoogleの大規模サービス運用の課題から生まれました。Googleは検索やGmail、YouTubeなど世界規模のサービスを提供しており、急速に成長する組織では従来の運用体制では対応できない状況がありました。

そこでGoogleは、「ソフトウェアエンジニアが運用を担当する」というモデルを採用しました。運用をソフトウェアの問題として捉え直すことで、手作業の削減や自動化、信頼性指標の整備、インシデント管理プロセスの標準化など、体系的な手法を確立しました。

このアプローチはSREの原型となり、Googleが書籍や公式ブログで知見を公開したことにより、世界中のIT企業に普及しました。現在ではAmazon、Netflix、Microsoft、Metaなどの大手企業はもちろん、日本国内でもLINE、メルカリ、リクルートなど幅広く導入が進んでいます。

SREが現代のシステム運用で重要視される理由

SREの重要性は、近年のシステム環境の変化に大きく影響されています。以下のような背景が挙げられます。

  • クラウドやマイクロサービス化によるシステムの複雑化
    複雑な構成や依存関係が増えたことで、従来の属人的な運用だけでは安定したサービス提供が難しくなりました。
  • サービス停止の影響が大きくなった
    24時間稼働のサービスが一般化し、障害が売上やユーザー体験に直結するようになりました。
  • ユーザーの期待値が高まった
    サービス停止が許容されない時代となり、可用性やパフォーマンスの確保は企業競争力に直結します。
  • データに基づく運用の必要性
    SLI/SLOなどの定量指標を活用することで、信頼性を数値化し、運用と開発の優先度を客観的に決定できるようになりました。

これらの要因により、SREは単なる運用改善手法ではなく、信頼性と開発速度を両立させる現実的かつ戦略的な解決策として注目されています。

SREとDevOpsの違い|役割の関係性と補完ポイント

SREを語る上で欠かせないのが「DevOps」との関係です。両者は混同されやすいものの、実際には次のような関係性があります。

DevOpsの概要と文化的背景

DevOpsは「開発(Dev)と運用(Ops)の分断をなくし、協力して価値提供を高速化する文化・思想」です。主な特徴は以下のとおりです。

  • 開発と運用の連携を強化し、コミュニケーションを改善
  • 継続的インテグレーション・デリバリー(CI/CD)の実現
  • 属人化を排除し、改善サイクルを高速化

ただし、DevOpsはあくまで文化や理念であり、具体的な手法やルールは定めていません。そのため、理念を現場に落とし込む手段としてSREが機能します。

SREがDevOpsを実現するための“具体的な仕組み”である理由

SREは、DevOpsの理念を具体的な運用方法として形にする手法です。以下の仕組みを通じて、DevOpsが目指す「開発と運用の高速改善サイクル」を実現します。

  • SLO/SLIによるサービス品質の指標化
  • エラーバジェットによる開発スピードと信頼性の調整
  • 運用作業の自動化
  • インシデント管理のプロセス整備
  • 可観測性(Observability)の強化

このように、DevOpsが理念・方向性であるのに対し、SREはその理念を現場で実践するための具体策と位置づけられます。

誤解されやすいSREとDevOpsの境界

SREは「運用チームの名前を変えただけ」という誤解を受けることがありますが、実際には以下の役割があります。

  • 開発チームへの支援:リリースの安全性や可用性の基準を提供
  • 運用改善:自動化や改善プロセスの整備を推進
  • 組織文化の形成:障害後の振り返りや改善サイクルを組織に浸透

SREとDevOpsは補完関係にあり、競合するものではありません。SREはDevOpsの理念を現実化する「手段」として機能します。

SREの主な役割と実践要素

SREの実践において重要な概念は「SLI」「SLO」「エラーバジェット」です。これらはサービスの信頼性を定量的に管理し、開発スピードとのバランスをとるための基盤となります。

SLI/SLOの設計と運用

  • SLI(Service Level Indicator)
    サービス品質を示す定量的な指標です。例としては「リクエスト成功率」「平均レスポンス時間」「可用性」などがあります。
  • SLO(Service Level Objective)
    SLIに対する目標値です。例えば「月間99.9%の可用性を維持する」といった形で設定します。SLOを明確に定めることで、開発・運用・経営が共通の品質基準を持つことができます。

SLOは、信頼性の確保だけでなく、開発チームと運用チームの意思決定をガイドする役割も持っています。

エラーバジェットの考え方と意思決定

エラーバジェットとは「許容可能な障害やダウンタイムの範囲」を数値化したものです。SLOを基に算出され、組織がどの程度リスクを許容できるかを明確にします。

  • バジェットに余裕がある場合:新機能リリースを加速できる
  • バジェットを使い切った場合:リリースを一時停止し、安定性確保に注力する

これにより、開発速度とサービス信頼性のバランスを客観的に判断でき、組織間の衝突を最小化します。

インシデント対応・自動化・可観測性の実践ポイント

  • インシデント対応:迅速な検知・分析・復旧プロセスを整備
  • 運用自動化:手動作業の削減による人的ミスの防止
  • 可観測性の向上:ログ・メトリクス・トレースを活用し、障害の早期検知と原因分析を容易にする

SREはこれらを組み合わせ、安定性と開発効率を同時に高めることを目指します。

SRE導入のステップ|組織づくり・体制・KPI

SRE導入は「専門チームの設置」だけでは完結しません。組織文化・プロセス・評価指標の見直しまで含めた総合的な取り組みが必要です。

現状課題の整理とSRE導入の判断基準

まずは現状の運用課題を洗い出します。主なチェックポイントは以下です。

  • 障害頻度や復旧時間
  • ボトルネックとなっているプロセス
  • 属人化している運用作業
  • 開発と運用の摩擦の有無
  • サービスの信頼性がビジネスに与える影響度

これらを整理することで、SRE導入の優先度や効果を判断できます。

SREチームの組成方法と必要スキル

SREチームを立ち上げる際は、インフラ・開発・運用の知識をバランス良く持つエンジニアを中心に組成します。必ずしもインフラ出身者だけで構成する必要はなく、ソフトウェアエンジニアが自動化スキルを活かして貢献するケースも多くあります。

また、実装力と同じくらい重要なのが「障害時の意思決定ができる判断力」と「継続改善の文化」です。運用改善を継続できるチームこそSREとして成果を出しやすくなります。

導入初期に整備すべきプロセスとKPI

導入初期は、SLI/SLOやインシデント管理プロセスの整備から始めるのが一般的です。これにより、信頼性を定量的に測定できるようになります。

KPIとしては、MTTR(平均復旧時間)、インシデント発生件数、手動作業削減量などが代表的です。特に「自動化によってどれだけ人的負荷が下がったか」は、SRE導入効果を示す重要な指標となります。

成功企業のSRE実践例と導入時につまずくポイント

SREは大手企業だけでなく、スタートアップや中規模企業でも成果を上げています。成功パターンを学ぶことで、導入時のつまずきを避けることができます。

SRE導入が成功している企業の共通点

成功企業に共通するのは、「信頼性をビジネス価値と結びつけている」点です。障害を減らすことが目的ではなく、結果として顧客満足度や売上に寄与するという考え方を持っています。

また、開発チームとの隔たりが少なく、SREがプロダクト開発の意思決定に参加しているのも特徴です。改善活動の優先度やリソース配分が適切になり、継続的な信頼性向上につながります。

つまずきやすい課題(文化・予算・役割の誤解など)

一方、よくある失敗例として「SREを単なる運用チームの名称変更と考えてしまう」ケースがあります。これでは改善活動が機能せず、運用負荷が減らないままになります。

また、文化的な課題として、開発チームがSREの役割を理解していない場合、摩擦が生まれやすくなります。SREは「何でも屋」ではなく、信頼性のための技術的取り組みを主とする専門領域です。この境界が曖昧なまま導入を進めると、期待値のずれが生じ、導入が頓挫してしまうことがあります。

導入を成功させるための実務的アドバイス

成功させるポイントは、いきなり大きく始めないことです。まずは1つのサービス、1つのSLOから導入し、小さく成功を積み重ねることで社内に理解が広まります。

さらに、障害後の振り返り(ポストモーテム)を習慣化し、再発防止をシステム的に行う文化づくりも重要です。改善活動を“人の頑張り”に依存せず、仕組みで支えることがSREの本質といえます。

まとめ

SREは、単なる運用改善ではなく、信頼性と開発速度を両立させるための“技術的アプローチ”です。SLI/SLOやエラーバジェットといった明確な指標を導入し、開発と運用の協働を仕組みとして実現することで、サービス品質とビジネス価値の向上につながります。
自社のフェーズに合わせて段階的に導入することで、運用負荷の軽減、インシデント対応力の向上、プロダクト価値の最大化を実現できます。

「SREとは?DevOpsとの違い・役割・導入ステップを徹底解説|安定運用と開発速度を両立する仕組み」

の詳細が気になる方は、
お気軽にお問い合わせください

Y's Blog 編集部

株式会社Y'sのメンバーによって構成される編集部。Y'sのナレッジ情報の発信を行います。その他Y'sにかかわるさまざまな情報をお届けします。
Recommend
  • 2025/12/26

    売上予測システムとは?導入メリット・仕組み・事例まで徹底解説

  • 2025/12/26

    社内FAQシステムの導入完全ガイド|業務効率化とナレッジ共有を実現する仕組みとは

TOP

資料ダウンロード

会社概要を始め、Y’sが展開するサービスの資料をダウンロードすることが可能です。

資料ダウンロード
資料をダウンロードする
Download

お問い合わせ

WEB制作、システム開発、WordPress構築からマーケティング支援まで、お気軽にご相談ください。

お問い合わせをする
お問い合わせをする
Contact