S3コスト削減完全ガイド|CloudWatch料金の落とし穴と実践的な最適化方法

公開日:2026/01/16 更新日:2026/01/16
  • Web開発

S3コスト削減完全ガイド|CloudWatch料金の落とし穴と実践的な最適化方法

公開日:2026/01/16 更新日:2026/01/16
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初めに

AWS S3は「安価でスケーラブルなストレージ」として多くのシステムで利用されています。しかし実際の請求額を確認すると、「想定よりもS3のコストが高い」「特に理由は分からないが毎月少しずつ増えている」と感じるケースは少なくありません。その原因を詳しく見ていくと、S3単体のストレージ料金ではなく、CloudWatchをはじめとした周辺サービスのコストが影響していることが多くあります。
特にCloudWatchは、メトリクス・ログ・アラームなどを通じてS3の状態を可視化できる便利なサービスである一方、設定次第ではデータが自動的に蓄積され、気づかないうちに費用が積み上がります。S3のコスト削減を考える際は、ストレージ容量だけを見るのではなく、CloudWatchを含めた「全体構造」を理解することが欠かせません。
本記事では、まずS3の料金体系とコストが増える典型的な要因を整理し、そのうえでCloudWatch料金の仕組みとS3との関係を分かりやすく解説します。請求額の内訳を正しく理解し、無駄なコストに気づくための土台として、ぜひ参考にしてください。

S3の料金体系とコストが増える主な要因

S3の基本料金(ストレージ・リクエスト・データ転送)

S3の料金は、大きく分けて「ストレージ料金」「リクエスト料金」「データ転送料金」の3つで構成されています。最も分かりやすいのはストレージ料金で、保存しているデータ容量とストレージクラス(Standard、Standard-IA、Glacierなど)によって決まります。

一方で見落とされがちなのが、PUT・GET・LISTといったリクエスト回数に応じた課金です。特にアプリケーションから頻繁にアクセスされるバケットでは、リクエスト数が想定以上に増え、ストレージ容量以上にコストへ影響することがあります。

さらに、S3からインターネットや他リージョンへデータを転送する場合は、データ転送料金が発生します。S3自体は安価でも、「どのように使われているか」によって総コストが変わる点を理解することが重要です。

 

ストレージクラス設計ミスによるコスト増

S3では用途に応じて複数のストレージクラスが用意されていますが、すべてのデータをS3 Standardに保存し続けているケースは少なくありません。頻繁にアクセスされないバックアップデータや過去ログであっても、設計を見直さないままStandardに置かれていると、不要なコストが発生します。

本来、アクセス頻度が低いデータであればStandard-IAやOne Zone-IA、さらに長期保存が目的であればGlacier系ストレージを利用することで、大幅なコスト削減が可能です。しかし、初期構築時のままストレージクラスを見直していないと、データ量の増加とともにコストも比例して増えていきます。

S3のコスト削減を考える際は、「どのデータが、どれくらいの頻度で使われているか」を整理し、ストレージクラスが適切かを確認することが第一歩になります。

 

ライフサイクルルール未設定が招く長期的な無駄

もう一つ、S3で非常によく見られるのがライフサイクルルールが未設定、または不十分な状態です。ライフサイクルルールを設定していない場合、不要になったオブジェクトや古い世代のデータが自動的に削除・移行されることはありません。

その結果、過去のバックアップやログファイル、検証用データなどが延々と残り続け、気づかないうちにストレージ容量が膨らんでいきます。月々の増加額は小さくても、年単位で見ると無視できないコスト差になることも珍しくありません。

ライフサイクルルールを使えば、「一定期間後にIAへ移行」「さらに一定期間後に削除」といった運用を自動化できます。S3のコストが増えている場合、まずはこの設定が適切に行われているかを確認することが重要です。

 

CloudWatch料金の仕組みとS3との関係

CloudWatchの課金対象(メトリクス・ログ・アラーム)

CloudWatchはAWSリソースの状態を監視するためのサービスで、主に「メトリクス」「ログ」「アラーム」が課金対象となります。S3に関しても、バケットサイズやリクエスト数などのメトリクスを取得したり、アクセスログやアプリケーションログをCloudWatch Logsに送信したりすることで利用されます。

メトリクスには標準メトリクスと詳細メトリクスがあり、収集頻度や種類によって料金が変わります。また、CloudWatch Logsでは取り込むログデータ量と保存期間に応じて課金されます。アラームも数に応じて料金が発生するため、設定が増えるほどコストは上昇します。

S3自体の料金はシンプルでも、CloudWatchを併用することで課金ポイントが一気に増える点には注意が必要です。

 

S3関連でCloudWatchが使われる代表的なケース

S3とCloudWatchは、運用監視の観点からセットで使われることが多いサービスです。例えば、バケットのサイズ増加を監視するためのメトリクス、リクエスト数やエラー数を把握するためのメトリクス、さらにはS3アクセスログをCloudWatch Logsに送って可視化するケースが挙げられます。

これらの設定自体は決して間違いではありませんが、「本当に必要な監視かどうか」を検討せずに有効化していると、コストだけが増えてしまいます。特に検証環境や一時的な用途のバケットでも、本番と同じ監視設定をしている場合は要注意です。

 

S3単体では見えない「周辺コスト」の正体

S3の請求額を見て「そこまで容量は使っていないのに高い」と感じた場合、その差分の多くはCloudWatchなどの周辺サービスにあります。S3はあくまでデータを保存する場所であり、監視・可視化・分析のためのコストは別サービスとして発生します。

この周辺コストは、S3単体の料金表を見ているだけでは把握しづらく、Cost Explorerなどでサービス別に確認して初めて気づくことも少なくありません。S3のコスト削減を成功させるためには、「S3+CloudWatch」というセットで全体像を捉える視点が不可欠です。

 

S3×CloudWatchで発生しがちな無駄なコスト

不要な詳細メトリクス・高頻度監視の放置

CloudWatchでは、メトリクスの収集頻度や種類を細かく設定できますが、必要以上に詳細なメトリクスを取得しているケースは非常に多く見られます。たとえば、1分粒度の詳細メトリクスを常時有効化しているものの、実際には月次レポート程度でしか確認していない、といった状況です。

メトリクスは「取っているだけ」でコストが発生します。障害検知やリアルタイム監視が不要なバケットや処理については、標準メトリクスに戻す、もしくは監視自体を停止することで、確実なコスト削減につながります。監視は多ければ良いわけではなく、目的に応じた最小限の設計が重要です。

 

CloudWatch Logsへのログ出力しすぎ問題

S3に関連するログとして代表的なのがアクセスログですが、これらをすべてCloudWatch Logsへ送信していると、ログ取り込み量と保存量の両面でコストが膨らみます。特にアクセス頻度の高いバケットでは、ログ量が想定以上になることも珍しくありません。

ログは「将来の調査に使うかもしれない」という理由で無制限に保存されがちですが、実際に参照される期間は限られているケースが大半です。短期間はCloudWatch Logsで確認し、それ以降はS3やGlacierへ移行するといった運用に切り替えるだけでも、コストを大きく抑えられます。

 

目的が曖昧なアラーム設定によるコスト増

CloudWatchアラームも、設定数に応じて課金されるリソースです。過去の障害対応や検証の名残で作られたアラームが放置され、「誰も通知を見ていない」「通知が来ても対応しない」といった状態になっていることは少なくありません。

このようなアラームは、コストだけでなく運用面でもノイズになります。アラームは「誰が」「どのタイミングで」「どう対応するのか」が明確になって初めて意味を持ちます。目的が曖昧なものは削除し、本当に必要なアラームだけを残すことが、結果的にコスト削減につながります。

 

S3とCloudWatchの具体的なコスト削減方法

必要なメトリクス・ログだけを残す設計に見直す

コスト削減の第一歩は、「何のために監視しているのか」を明確にすることです。障害検知が目的なのか、利用状況の把握なのか、将来の分析なのかによって、必要なメトリクスやログは異なります。

目的を整理したうえで、使われていないメトリクスやログは停止・削除します。これだけでもCloudWatch関連のコストは確実に下がります。設定を減らすことは、運用を弱くすることではなく、むしろ最適化だと捉えることが重要です。

 

ログの保存期間・保存先を最適化する

CloudWatch Logsでは、ロググループごとに保存期間(Retention)を設定できます。これを無期限のままにしていると、ログは際限なく蓄積され、コストが増え続けます。

多くの場合、ログを即時確認する期間は数日〜数週間で十分です。それ以降のログは、S3やGlacierへエクスポートして長期保存することで、コストを抑えつつ必要なデータを保持できます。**「どこに、どれくらいの期間保存するか」**を明確に決めることが、継続的な削減の鍵になります。

 

S3ライフサイクルと組み合わせた削減施策

ログやバックアップデータについては、S3のライフサイクルルールと組み合わせることで、ほぼ自動的にコスト最適化が可能です。たとえば、「30日後にIAへ移行」「180日後にGlacierへ移行」「1年後に削除」といったルールを設定すれば、人手をかけずに無駄を防げます。

S3とCloudWatchを別々に考えるのではなく、データの流れ全体を設計することで、より効果的なコスト削減が実現できます。

 

コスト削減を継続するための運用・管理ポイント

Cost ExplorerでS3・CloudWatchを分けて可視化する

AWS Cost Explorerを使えば、サービス別・使用タイプ別にコストを確認できます。S3とCloudWatchを分けて可視化することで、「ストレージが増えているのか」「監視コストが増えているのか」を明確に把握できます。

月次でこの確認を行うだけでも、異常な増加に早期に気づくことができ、対策を打ちやすくなります。

 

請求アラートと予算管理による早期検知

予算アラートや請求アラートを設定しておくことで、「気づいたら高額請求になっていた」という事態を防げます。特にCloudWatch関連は、設定変更によって急激にコストが変わることがあるため、早期検知が重要です。

 

定期的な設定レビューと削減ルールの標準化

最後に重要なのが、定期的なレビューです。四半期や半期ごとに、S3バケット・CloudWatch設定・ログ保存方針を見直すルールを決めておくことで、無駄なコストの再発を防げます。属人化させず、チームや組織としてのルールに落とし込むことがポイントです。

 

まとめ:S3コスト削減は「CloudWatch込み」で考える

S3のコスト削減というと、ストレージ容量やクラス変更だけに目が向きがちですが、実際にはCloudWatchをはじめとした周辺サービスの影響が大きな割合を占めることがあります。
重要なのは、S3単体ではなく、監視・ログ・運用まで含めた全体像でコストを見ることです。

不要なメトリクスやログを減らし、保存期間や保存先を最適化し、ライフサイクルルールを活用することで、無理なくコストを下げることができます。さらに、可視化と定期レビューを組み合わせれば、削減効果を継続させることも可能です。

AWSのコスト最適化は一度きりではなく、運用とともに続けていく取り組みです。
S3とCloudWatchの構成や運用を見直したい場合は、当社でも支援していますので、お気軽にご相談ください。

 
 
 
 
 

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