
目次
リブランディングとは?定義と必要性
リブランディングの基本的な意味
リブランディングとは、企業や商品、サービスにおける既存のブランドイメージやポジショニングを再定義し、企業の理念や市場環境の変化に応じて再構築するプロセスです。具体的には、企業ロゴ、タグライン、ブランドカラー、ビジュアルトーン、製品ラインナップ、コミュニケーションメッセージなど、ブランドに関連するあらゆる要素が対象になります。
単なるロゴや色使いの変更にとどまらず、ブランドの核となる「ビジョン」や「ミッション」、さらには顧客とのエンゲージメントのあり方まで見直すため、経営戦略とも密接に連動した施策といえます。
たとえば、長年愛されてきたブランドであっても、市場環境や消費者の価値観が変化すれば、そのままでは競争力を維持できません。そのような場合、ブランドの「見た目」と「中身」の両面をアップデートし、顧客からの認知や共感を再獲得する必要があります。これが、リブランディングが重要視される背景です。
なぜ今リブランディングが必要なのか
現代のビジネス環境では、企業が提供する商品やサービス自体の質以上に、「企業が何を大切にし、どのような価値観で社会と向き合っているか」が選ばれる基準になっています。Z世代やミレニアル世代の消費者は、単に価格や機能を比較するのではなく、ブランドの姿勢やストーリーを重視します。
加えて、SNSやクチコミサイトの普及により、ブランドの評判はリアルタイムで広まり、企業にとってのリスクもチャンスも劇的に高まっています。時代にそぐわない古いブランドイメージは、即座に競争力を損なう要因となりかねません。
このような環境下で、企業が持続的に成長するためには、顧客との関係性を再定義し、ブランドの方向性を今一度見直す必要があります。その手段として有効なのがリブランディングです。
関係性を築くことが可能になります。これが、いまリブランディングが重要視されている理由です。
リブランディングの目的とタイミング
どのような時に実施すべきか
リブランディングを行うべきタイミングは、企業の成長ステージや業界環境の変化に応じて多様です。以下に典型的なケースを挙げます。
・企業のビジョン・ミッションが変更されたとき
経営陣の交代や事業の方針転換により、ブランドの根幹にある価値観や目指す方向が変わった場合、ブランドもそれに合わせて更新する必要があります。
・新市場への進出やグローバル展開を予定しているとき
国内向けのブランドが海外市場では通用しない場合、名称やビジュアルを再設計することで、多様な文化圏にもフィットするブランドに変えることができます。
・競合との差別化が困難になったとき
同業他社との違いが曖昧になってきた場合、ブランドポジションを明確にし直すことで差別化が可能になります。
・顧客層の変化やニーズの変化が見られるとき
顧客層が高齢化した、若年層の取り込みが難しいといった状況では、新たなペルソナに向けた訴求が求められます。
・ブランドに対する認知や評価が低迷しているとき
ブランドイメージが時代遅れである、あるいはネガティブな印象がある場合は、刷新することで信頼回復や再認知を促進できます。
リブランディングを実施する際は、企業の現状と目指す未来に対する十分な分析が必要です。また、外部環境や市場動向を考慮した上で、どのようなブランドイメージが最適かを再検討することが重要です。リブランディングは単なる外面の変更にとどまらず、企業の本質的な価値を再定義する機会でもあります。そのため、慎重かつ戦略的に進めることが成功に繋がります。
経営・ブランド戦略との関係
リブランディングは、単独のプロジェクトではなく、企業の経営戦略と深く結びついています。ブランドは単なる「装飾」ではなく、企業の価値を象徴する存在です。よって、経営ビジョン・事業ドメインの変更、新規事業の開始、あるいは組織文化の見直しなどと合わせて進行すべきです。
また、リブランディングの成功は社内の意識改革にも寄与します。従業員一人ひとりが新しいブランドを体現し、顧客と接することで、企業文化の醸成にもつながります。こうした全社的な取り組みと連動させることで、ブランドの「再生」ではなく「進化」を実現することができます。
リブランディングの効果とは
顧客への影響とブランド認知度の変化
リブランディングがうまくいけば、顧客のブランドに対する認知や印象を大きく改善することができます。たとえば、旧態依然としたブランドを刷新することで、若年層を中心に新たなファン層を獲得することも可能です。
ブランドイメージが変化すると、商品の「選ばれやすさ」や「信頼性」にも直結します。SNS施策を並行して実施すれば、新しいブランドイメージを一気に市場へ拡散することができ、効率的なブランディング効果が期待できます。
ただし、長年支持してきた既存顧客に対する配慮も必要です。唐突な変更は、逆に離反を招くリスクもあるため、旧来のブランドとの接点やメッセージの橋渡しが重要となります。
売上・競争力への波及効果
ブランドの再構築によって、「価格ではなく価値で選ばれる」状態を作り出すことができます。これにより、商品・サービスの付加価値が高まり、値下げ競争からの脱却が期待できます。
さらに、新しいブランドイメージにより競合との差別化が進めば、顧客の選択肢としての優位性が生まれます。その結果として、次のような成果が見込まれます。
- 顧客単価の向上
- リピート率の改善
- 新規顧客層の獲得
- 採用活動におけるブランディング効果
- 投資家からの評価向上
リブランディングは、単に市場での競争力を高めるだけでなく、企業の未来を形作る重要な戦略です。
ブランドの価値が高まることで、顧客のロイヤルティも向上し、競争優位性が持続的に強化されます。
また、社内の一体感やモチベーション向上にも寄与し、組織全体の成長を後押しします。
これらの効果は、長期的な企業の成功に不可欠な要素となり、持続可能な発展を支えます。
リブランディングにかかる費用とは
内製と外注での費用の違い
リブランディングの実施形態は大きく「内製」と「外注」に分かれ、それぞれにメリット・デメリットがあります。
- 内製の場合
社内にマーケティング部門やデザイナーを抱えている企業であれば、コストを大幅に抑えることが可能です。ただし、客観的視点に欠けることや、ブランディングの専門知識が不十分な場合、成果が限定的になることも。 - 外注の場合
ブランドコンサルティング会社やクリエイティブエージェンシーに依頼することで、専門性と第三者視点による戦略設計が可能になります。初期費用は高額になりますが、中長期的なROIを見据えた場合、投資対効果は高いと言えます。
企業の状況や課題の性質に応じて、どの形態を採用するかを判断することが肝要です。
たとえば、自社のブランドに対する深い理解が社内に蓄積されており、かつ十分な人材とノウハウが揃っている場合には、内製による実施が適しているでしょう。
一方で、現状のブランドイメージに対する客観的な分析や、業界全体を見渡したうえでの戦略的リブランディングが必要な場合は、外部専門家の力を借りることが有効です。
また、社内のリソースやスケジュールに余裕がないケースでは、プロジェクトの円滑な進行という観点からも外注の活用が現実的な選択肢となります。
リブランディングにかかる費用の内訳
ブランディングにかかる費用は、プロジェクトの目的や施策範囲に応じて変動します。
ここでは、大きく4つのフェーズに分けて、費用感の目安をご紹介します。
項目 | 内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
ビジネス戦略設計 | 課題の整理、競合分析 ビジネスモデルの設計 |
100万〜350万 |
ブランド戦略設計 | ターゲット・コンセプトの設計 ブランド価値の明確化 |
50万〜100万 |
ブランドデザイン | ロゴやWebの方向性定義 デザインガイドの策定 |
80万〜100万 |
制作・実装 | サイトやロゴなどのデザイン制作 実装 |
5万〜100万 |
※制作・実装の工程につきましては、要件によって制作物の量が変動するので、金額にばらつきがあります。
【1】ビジネス戦略設計フェーズ
企業の現状を把握し、ブランドの方向性を定めるための初期工程です。
こちらの工程は、根幹となる非常に重要な部分となっており、競争の激しい環境で持続的な成長を遂げられるよう、様々な観点から分析します。将来の戦略や意思決定の基盤を築くためにも現状の理解はとても重要です。
主に以下のようなことを行います。
・課題/目標の整理
・市場/競合の分析
・ビジネスモデルの設計
【2】ブランド戦略設計フェーズ
ブランドの強みや価値を明確にし、ターゲット・コンセプトを設計する工程です。
主に以下のようなことを行います。
・ブランドの強み/価値の定義
・ターゲット/ペルソナ設計
・ポジショニング
・ブランドコンセプト策定
【3】ブランドデザインフェーズ
戦略で定めた方針をもとに、視覚や言葉で「ブランドらしさ」を表現していく工程です。
主に以下のようなことを行います。
・デザインコンセプト/ルールの策定
・ブランドイメージやアーキタイプの設計
・ロゴ/webなどのデザイン提案
【4】制作・実装フェーズ(タッチポイント):必要に応じて個別見積もり
具体的なアウトプット(広告・Web・名刺・店舗装飾など)を制作する工程です。
内容や規模によって大きく異なるため、以下のように個別見積もりとなるのが一般的です。
以下のような制作物があります。
・LP/CPサイト、アプリ画面
・各種営業資料、名刺、サイン、ノベルティ
・店舗内装/ユニフォームなど
ブランディングにおいて戦略設計の部分が非常に重要です。
弊社では戦略設計に重きをおいた、リブランディングサービスを提供しております。
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Y’sで担当したリブランディング成功事例とそのポイント

ツチヤ自動車様:採用が14倍にアップした事例
もともと採用専用のサイトが存在せず、コーポレートサイトも古いまま運用されていたため、今回、サイトの新規制作およびリニューアルのご依頼をいただきました。
中古車業界は「きつい・きたない・きけん」のいわゆる“3K”というイメージを持たれやすく、求職者やお客様に対する印象に課題がある業界です。そのため、単に採用サイトを設けるだけでは十分ではなく、他社との差別化と業界イメージの刷新を目的に、リブランディングから着手しました。
ブランドコンセプトの再定義やビジュアルの刷新、情報設計の見直しなどを通じて、企業の本来の魅力を明確化し、求職者やユーザーに正しく伝える設計に落とし込みました。
その結果、採用数は従来比で14倍に増加。さらに、追加の制作物が発生した際にも、事前に策定したブランディングルールに基づいて進行できるため、担当者が変わっても一定の品質が担保され、クライアントによる確認もスムーズに行える体制が整いました。
成功するための共通ポイント
上記の成功事例に共通するポイントは以下の通りです。
・明確なビジョンとKPI設定がある
「なぜリブランディングするのか」を社内外に明示し、成果の指標を明確化。
・社内外のステークホルダーとの密な連携
顧客、社員、取引先といった関係者を巻き込みながら進行。
・一貫性あるメッセージとデザイン展開
ロゴ・コピー・Web・広告・プロダクトに至るまで世界観を統一。
・評価と改善のPDCA体制が整っている
ブランドローンチ後も、定点観測を行い改善を繰り返す。
これらを抑えることで、単なるイメージチェンジではない、本質的なブランド価値の再定義が可能になります。
まとめ
リブランディングは、単なるデザイン変更ではなく、企業の成長戦略に直結する重要施策です。市場や消費者の変化に応じてブランドを再設計することで、企業は新たな顧客層を獲得し、競争優位を確保することができます。
本記事では、リブランディングの定義からその必要性、実施タイミング、費用、成功事例に至るまでを網羅的に解説しました。成功の鍵は、戦略的視点と実行の一貫性、そして社内外を巻き込んだプロジェクト運営にあります。
リブランディングをご検討中の方は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
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Y's Blog 編集部