DX会社の選び方|比較ポイント・支援内容・成功事例までわかりやすく解説
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初めに
DX会社とは?役割と支援範囲
DX推進におけるDX会社の位置付け
DX会社は、企業がデジタルトランスフォーメーションを推進する際に必要となる専門知識・技術・実行力を提供する外部パートナーです。企業内部では不足しがちな最新テクノロジーの知識や業務改革のノウハウを補い、プロジェクトを成功に導く役割を担います。
近年、日本企業が直面する環境は急激に変化しています。少子高齢化による労働人口減少、グローバル競争の激化、原材料価格高騰、サプライチェーン分断、災害リスクの増加など、あらゆる領域で予測困難な状況が増えています。こうした環境下では、従来の業務プロセスや縦割り組織だけでは柔軟に対応できず、「デジタルを活用した変革(DX)」が企業の競争力に直結するようになりました。
しかし、実際には DX推進を担える専門人材が社内に十分そろっている企業は多くありません。IT部門は日常業務で手一杯になり、事業部門は改善したい業務はあるものの、どの技術が有効か判断できないケースも多いです。そこで、経営と現場の両方を理解したうえで、デジタル活用のロードマップを描き、必要な技術や業務改革を実行できるDX会社の価値が高まっています。
DX会社は、単にシステムを導入するだけでなく、以下のような領域もカバーします。
- 経営層の課題整理・DX戦略策定
- 現場業務の可視化と改善案の提示
- データ基盤の整備、分析モデルの構築
- 新規事業の企画・サービス設計
- システム刷新、クラウド移行の実行
- 内製化に向けた組織づくりや教育支援
特に、クラウド・AI・データ活用などの難易度が高い領域では、専門技術や経験を持つ外部パートナーの関与が重要になるケースが多くなっています。そのためDX会社は、企業の変革を支える「伴走者」として重要な役割を果たします。ただし、DX会社は幅広い支援が可能ですが、得意領域には差があります。戦略立案に強い会社、システム刷新に強い会社、業務改善に強い会社など、目的に応じて適切な会社を選ぶことが重要です。
支援内容(業務改革・IT導入・データ活用・クラウド化など)
DX会社の支援内容は多岐にわたりますが、大きく以下の7つのカテゴリに分類できます。
1. 業務改革(BPR:Business Process Re-engineering)
業務改善はDXの根幹です。現場で長年続いてきた業務には、以下のような課題が潜んでいます。
- 紙やExcelでの管理
- 担当者の経験に依存した判断
- 承認プロセスが複雑で遅い
- 部署間のデータ連携がない
- 過去のシステム制約で最適化できない
DX会社は、現場ヒアリング・業務フロー分析・データ分析を通じて課題を可視化し、ムリ・ムダ・ムラを排除します。改善案には以下が含まれることが一般的です。
- プロセス標準化
- 役割分担の明確化
- 自動化の導入(RPA・BPMS)
- 業務の権限委譲
- KPI設計と可視化
業務改革は、単なる効率化に留まらず、属人化解消・品質向上・ミス削減といった効果も期待できます。
2. IT導入支援
DX会社は、企業の目的に適したITソリューション選定を行い、導入〜運用まで伴走します。
対象となるIT領域は以下の通りです。
- 基幹システム(ERP)
- 販売管理・在庫管理・生産管理
- CRM/SFA
- コールセンターシステム
- 経費精算・勤怠・人事システム
- SaaSツール(Notion, kintone, Salesforce など)
- RPAツール(UiPath, Automation Anywhere など)
- ローコード/ノーコードツール
IT導入は「目的と手段」を履き違えると失敗します。DX会社は目的に紐づいた最適なシステムを提案し、カスタマイズや運用定着まで支援します。
3. データ活用支援
DXの中心ともいえるのがデータ活用です。多くの企業ではデータが分散しており、以下のような状態が発生しています。
- 顧客データが営業部とマーケティング部で分断
- 在庫・生産・販売が連携していない
- データが紙やExcelのまま保存
- 分析できる人材が不足
DX会社は、データ基盤の整備から分析、AI導入まで一気通貫で支援します。
支援内容の例:
- データレイク/DWH構築
- データ統合(ETL/ELT)
- BIツール(Tableau, Power BI)導入
- 需要予測・売上予測AIモデルの構築
- 顧客セグメント分析・レコメンドモデル
データ活用は、経営判断のスピード向上だけでなく、売上向上やコスト削減にも直結します。
4. クラウド化支援(AWS/Azure/GCP)
老朽化したシステムは、保守性が低く障害・脆弱性リスクも高いです。DX会社はクラウド移行によってモダナイズを支援します。
クラウド化のメリットの例:
- セキュリティを強化しやすい環境の構築
- 運用負荷の軽減が期待できる
- コスト最適化(従量課金モデルを活かした設計による)
- スケーラビリティ向上
- バックアップ・DR強化
支援内容:
- 既存環境の調査
- アーキテクチャ設計
- クラウド移行計画の策定
- 実データ移行・システム再構築
- 運用設計・監視体制構築
クラウド化はDXの基盤となるケースが多く、多くの企業で重要な取り組みと位置づけられています。
5. プロジェクトマネジメント支援(PMO)
DXは、部署横断的な調整が必要であり、プロジェクト管理が難航しがちです。
PMO支援の内容:
- プロジェクト計画・体制設計
- 課題管理・リスク管理
- ステークホルダー調整
- 会議体の運営
- ベンダーコントロール
中〜大規模のDXプロジェクトでは、PMOは中核機能となることが多い役割です。
6. 人材育成・内製化支援
DX会社は技術支援に留まらず、「自社でDXを推進できるチームづくり」をサポートします。
例:
- データ分析研修
- プロジェクト管理研修
- RPA開発トレーニング
- エンジニア育成プログラム
- デジタル組織の構築支援
内製化は継続的なDXの基盤となるため、近年重視される領域です。
7. 新規事業開発支援
DX会社は、既存業務の効率化に加え、「デジタルを活用した新規サービス戦略」も支援します。
例:
- サブスクリプションモデル設計
- 顧客データ活用の新規ビジネス
- AIを活用した新サービス企画
- プロトタイピング・PoC支援
事業変革まで踏み込めるのが、DX会社の最大の価値と言えるでしょう。
DX会社のタイプ(コンサル・SIer・支援特化企業)
大きく分けると、DX会社は以下の3カテゴリに分類できます。
1. コンサル系DX会社
特徴:
- DX戦略・業務改革の知見が豊富
- 経営層とのコミュニケーションが得意
- 複雑なプロジェクトの設計が強み
- 大企業のDXに適した体制を持つ
メリット:
- 上流工程から一貫して支援可能
- グローバルベストプラクティスを提供
- リスク管理やROI分析が得意
デメリット:
- 費用が高い
- 実装フェーズは外部ベンダーに委託することもある
中長期で事業全体を変革したい企業に向いています。
2. SIer(システムインテグレーター)系DX会社
特徴:
- システム開発・運用に強い
- クラウド移行や基幹システム刷新が得意
- エンジニアのリソースが豊富
メリット:
- 実装力が高い
- 技術的難易度の高い案件に強い
デメリット:
- 業務改革や戦略立案が不得意な会社もある
IT刷新が中心の企業に適しています。
3. 支援特化企業(中堅・専門特化型)
特徴:
- RPA・AI・データ活用などの特化領域に強い
- 価格が比較的リーズナブル
- スピード感がある
メリット:
- 小規模から導入できる
- 実行力が高く、成果が見えやすいケースも多い
デメリット:
- 経営戦略からの包括支援は弱い場合も
中小企業〜中堅企業で選ばれることが多いタイプです。
DX会社を選ぶべき企業の課題
社内のDX人材不足による停滞
DXが進まない主要な要因の一つが「人材不足」です。
多くの企業では、IT担当者が以下のような負担を抱えています。
- 既存システムの保守だけで手一杯
- データ分析まで手が回らない
- 業務改善の専門知識が不足
- AI・クラウドなど新技術へのキャッチアップが困難
DX会社は「必要なスキルセットをオンデマンドで提供」できるため、一気に推進力が高まります。
業務の複雑化・属人化の解消ニーズ
属人化はDXの大敵です。
よくある状態:
- 特定社員しか操作できないシステム
- 暗黙知に依存した判断
- 記録が残らない口頭伝承
- 退職・異動で品質が低下
DX会社は業務可視化を通じて、標準化・自動化を推進します。RPAやローコードツールなどを活用することで、短期的な改善も可能です。
デジタル化の優先順位が不明確な状態
DXが進まない企業に多い悩みが、
- まず何から着手するべきか分からない
という状態です。
DX会社は以下を整理します。
- すぐ効果が出る「Quick Win」
- 長期的に投資すべき領域
- 費用対効果の高い業務
- データ整備の優先順位
これにより、無駄な投資を避け、DXが実効性のあるものになります。
DX会社選びの比較ポイント
支援範囲と体制の明確さ
DXは領域が広く、支援会社によって得意・不得意があります。
選定時のチェックポイント:
- 戦略策定〜実装まで一貫して支援可能か
- 外部委託に頼りすぎていないか
- プロジェクト体制が可視化(PM/業務コンサル/エンジニア/データ人材の配置)
- 内製化支援の可否
- 業界・規模実績
- 成果の定量化・可視化
- 契約範囲・費用の明確化
- 柔軟な課題対応力・伴走力
曖昧なまま契約すると、後で「想定外の追加費用」が発生しやすくなります。
業界実績・成功事例の有無
DXは業界特性の理解が非常に重要です。
確認すべきポイント:
- 同業種のプロジェクト経験
- 同規模の企業での実績
- 成果のプロセス・期間が明示されているか
- 運用定着まで支援しているか
特に、製造・物流・医療・建設などは業務構造が複雑で、業界理解が成果に直結します。
コミュニケーション・伴走力・提案力
良いDX会社は以下の特徴があります。
- 専門用語を使わずに説明
- トラブル時に迅速かつ誠実に対応
- 課題の本質を見抜く力
- 現場と経営層をつなぐ調整能力
- 必要があれば軌道修正を提案
長期プロジェクトの成功には「伴走力」が重要になります。
DX会社の支援事例
製造業の業務効率化DX事例
製造業は業務の相互依存性が高く、改善余地も多い業界です。
支援内容例:
- IoTセンサーで設備稼働データを収集
- 在庫データ統合で欠品・過剰在庫削減
- 品質データ分析で不良原因特定
- 生産計画最適化で工数削減
成果の例:
- 年間数千万円規模のコスト削減が実現したケース
- 生産リードタイムが短縮されたケース
- 突発障害を従来より早期に検知できるようになったケース
小売業のデータ活用・売上改善事例
小売業ではデータは豊富でも活用できていないケースが多いです。
支援内容:
- POS・EC・顧客データ統合
- AIによる需要予測
- マーケ施策の自動化
- 店舗別KPIの可視化
成果の例:
- 会員単価が向上したケース
- 廃棄ロスが削減されたケース
- 店舗オペレーションが効率化されたケース
中小企業の基幹システム刷新DX事例
中小企業では、老朽化システムやExcel管理が課題になります。
支援内容:
- クラウドERP導入
- 業務標準化
- 受発注・在庫・会計の一元化
- 経営可視化ダッシュボード構築
成果の例:
- 属人化が解消されたケース
- 経営の意思決定スピードが向上したケース
- 在庫が適正化されたケース
自社に合うDX会社を選ぶためのステップ
目的・課題整理と要件定義
DX会社と話す前に以下を整理します。
- DXの目的は何か
- 課題はどこにあるか
- 業務プロセスは可視化されているか
- システム構成・データ状況
- 予算・期間・体制
事前整理があるかないかで、提案の質が大きく変わります。
複数社への比較依頼とRFP作成のポイント
複数社に依頼して比較することが望ましいです。
RFPに記載すべき項目:
- 目的
- 現状の課題
- システム構成
- 求める支援範囲
- 体制・スケジュール
- 評価基準
RFPは「ミスマッチ防止」の最大の武器です。
失敗しない契約・進行の注意点
契約・進行時の注意点:
- 契約範囲を明確化(追加費用条件含む)
- 成果物の定義を具体的に記述
- 定例MTGや進捗報告の頻度を決定
- スコープ変更の手続きルールを事前合意
- 伴走支援が継続されるか確認
DXは長期戦のため、ルール整備がトラブル防止のカギです。
まとめ
DX会社の選定は、DX成功に直結する非常に重要なプロセスです。本記事で紹介した比較ポイント・事例・ステップを踏まえることで、自社に最適なDXパートナーを見極めるための判断材料がそろいます。社内だけで悩まず、必要に応じて複数のDX会社へ相談しながら、適切なパートナー選びを進めていくことが重要です。
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