クラウドシステム開発とは?メリット・手法・費用・導入ステップをわかりやすく解説

公開日:2026/01/15 更新日:2026/01/15
  • Web開発

クラウドシステム開発とは?メリット・手法・費用・導入ステップをわかりやすく解説

公開日:2026/01/15 更新日:2026/01/15
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初めに

クラウドシステム開発は、業務効率化・拡張性・スピードを高める手段として多くの企業で採用が進んでいます。しかし「クラウド開発の進め方がわからない」「オンプレとの違いが不明」「費用や構築方法を知りたい」と悩む担当者は少なくありません。本記事では、クラウド開発の基礎知識からメリット、代表的なクラウド環境(AWS/GCP/Azure)の概要、開発プロセス、費用相場、導入の成功ポイントまでを体系的に解説します。クラウド導入を検討している企業が、要件整理から開発パートナー選定までをスムーズに進められるよう実務目線でまとめました。

クラウドシステム開発とは?基礎と特徴

クラウド開発とは何か

クラウド開発とは、AWS・GCP・Azureなどのクラウドプラットフォーム上でアプリケーションやシステムを構築・運用する開発手法を指します。従来のオンプレミス環境では、物理サーバーの購入・設置・ネットワーク構築・OSセットアップなど多くの初期作業が必要でしたが、クラウドでは多くのインフラ作業をオンライン上で迅速に実施できます。一方で、ネットワーク設計・ID管理(IAM)・セキュリティ設計・ガバナンス設計などは、要件に応じた設計判断が不可欠です。サーバー台数の確保、ラックの設置、空調・電源管理、セキュリティゲートの管理といった物理的制約から解放され、必要なときに必要なだけインフラを利用できます。

さらに、クラウドでは冗長化・負荷分散・バックアップを実現するための機能が標準サービスとして用意されており、適切に設計・設定することで高負荷時や障害時でもサービス継続性を確保しやすい点が特徴です。ただし、冗長化構成の選定やバックアップの有効化・保持期間(世代管理)などは利用者側の設計・運用責任として決める必要があります。API 経由でリソースを自動拡張するスケーリング機能、ログ監視の自動化、CI/CD と連携したデプロイなど、サービス運用に必要な仕組みがプラットフォーム側で整えられている点も強みです。

近年は単にクラウドに乗せるだけでなく、「クラウドネイティブ」と呼ばれる、クラウド前提のアーキテクチャが主流になりつつあります。コンテナ、マイクロサービス、サービスメッシュ、サーバーレスなどを活用することで、システムの更新性・拡張性・耐障害性を従来型の構成と比べて大幅に向上させやすくなります。

オンプレミスとの違い

オンプレミスは、自社のデータセンターにサーバーを設置してシステムを構築・運用する方式です。一方クラウドは、インフラをクラウドベンダーからサービスとして利用します。両者の主な違いは以下のとおりです。

●初期費用
オンプレミスはハードウェア購入・ラック・電源・ネットワークなど初期投資が大きいのに対し、クラウド自体の利用は初期費用がほとんどかからず、月額・従量課金でスタートできます。ただし、システム設計や移行作業などにかかる構築費用は別途発生します。

●拡張性
オンプレは物理的な限界があるため、増設には時間とコストが必要です。クラウドなら数クリックでCPU・メモリ・ストレージを即時追加できます。

●保守運用
OSパッチ適用・機材交換・障害復旧など、オンプレでは運用負荷が高くなりがちです。クラウドではハードウェア管理や仮想化レイヤーなどをクラウドベンダーが担うため、オンプレミスに比べて運用負荷を大きく減らせます。特にマネージドサービスや PaaS を活用することで、OS やミドルウェアレベルの運用もベンダー側に任せやすくなり、利用者はアプリケーション開発やビジネス価値の創出により集中できます。

●障害対策
クラウドには冗長化・可用性SLA・マルチリージョン設計などが整備されており、災害対策や高可用性を確保しやすい点も魅力です。

企業規模に関係なく、スピード・柔軟性・コスト効率の観点からクラウドを選ぶケースは増えており、オンプレとクラウドのハイブリッド構成を選択する企業も増えています。

クラウド開発が普及した背景

クラウド普及には以下の背景があります。

  • DXプロジェクトの増加によるレガシー刷新ニーズの高まり
  • 初期投資の圧縮効果により、経営者が意思決定しやすくなった
  • サーバーレス・コンテナの一般化で最新技術の敷居が下がった
  • リモートワークの普及により、可用性・セキュリティ・柔軟なアクセス環境の必要性が高まった
  • クラウドサービス自体の成熟により、安定性・セキュリティ・自動化が飛躍的に向上した

これらにより、クラウドは「選択肢のひとつ」ではなく「標準基盤」として認識されるようになりました。

クラウド開発のメリットと導入効果

開発スピード向上と柔軟性

クラウドではインフラの準備が即時で、企画からPoC(概念実証)までのリードタイムを大幅に短縮できます。IaC を使えば環境構築も自動化でき、テスト環境・ステージング環境をワンクリックで複製することも可能です。従来は数週間かかっていた基盤構築も、クラウドでは小〜中規模の環境やPoC用途であれば数分〜数時間で完了するケースがあります。

また、スケーリングや負荷試験も柔軟に実施できるため、アプリケーション性能を正しく検証しやすく、リリース後の性能問題を事前に回避しやすくなります。継続的デリバリーを前提とした開発プロセスに移行できる点も大きなメリットです。

コスト最適化とスケーラビリティ

クラウドは従量課金が基本であり、オンプレのように「ピーク時の最大負荷」に合わせて設備投資する必要がありません。自動スケーリングを活用すれば、アクセス増加時のみリソースを増やし、通常時は最小構成で運用できます。

さらに、サーバーレス(AWS Lambda など)を活用すれば、稼働時間ベースで課金されるため、アクセス量が少ないサービスほどコスト効率が高まります。ストレージも利用量に応じて課金されるため、データ拡張に柔軟に対応できます。

運用負荷の削減とセキュリティ強化

クラウドでは、OSパッチ適用、ハードウェア監視、障害復旧、データセンターの維持といった負荷をクラウドベンダー側が担うため、企業はアプリケーション運用に集中できます。

また、主要クラウドでは ISO27001 や SOC2、PCI DSS などの国際的なセキュリティ基準に関連する認証取得や統制(コントロール)を備えた基盤・サービスが提供されており、IAM・暗号化・ログ監査などのセキュリティ機能も標準提供されています。ただし、利用者のシステムが自動的に準拠するわけではないため、要件に合わせた設定・運用設計が必要です。特にゼロトラストを意識したアクセス制御やコンプライアンス設定を、クラウドの機能(IAM、ポリシー、監査ログ等)と組み合わせて一元的に管理しやすくなるため、企業のセキュリティ基盤としても有効です。

主要クラウド(AWS/GCP/Azure)の比較

AWSの特徴と向いているケース

AWSはクラウド市場で最もサービス数が多く、可用性・拡張性・グローバル展開に強みがあります。大規模EC、金融、産業系、IoTなど幅広い領域に利用されており、日本国内でも大手企業を中心に採用が進んでいます。

向いているケースの例

  • 多様なサービスを組み合わせて柔軟に設計したい場合
  • 国際展開を見据えて複数リージョンで展開したい場合
  • 高負荷に耐える大規模サービスを構築したい場合

AWSは学習コストがやや高いものの、自由度と拡張性を最優先する企業に適しています。

GCPの特徴と向いているケース

GCPはデータ分析・AI・機械学習領域に強みを持ち、BigQuery・Vertex AI など先進的なサービスが人気です。ネットワーク性能が高く、シンプルな構成・管理画面の使いやすさも評価されています。

向いているケースの例

  • データ分析基盤を中心に据えたプロジェクト
  • AI/MLをサービスに組み込む開発
  • コスト最適化を重視しつつ、シンプルな運用を実現したい場合

特にスタートアップの成長支援プログラムも充実しており、開発者体験を重視したい企業に向いています。

Azureの特徴と向いているケース

AzureはMicrosoftのエコシステムに強く、Windows Server、Active Directory、Office365 など既存システムと連携しやすいクラウドです。企業ITとの親和性が非常に高く、金融・公共分野でも採用が進んでいます。

向いているケースの例

  • 既存のMicrosoft製品との統合を重視する企業
  • ハイブリッドクラウドを構築したい場合
  • エンタープライズ業務システムをクラウド化したい場合

ガバナンス機能が豊富で、組織規模が大きい企業でも管理しやすい点が特徴です。

クラウドシステム開発のプロセスと必要な要件

要件定義とアーキテクチャ設計

クラウド開発では、早い段階で非機能要件(可用性・性能・セキュリティ・運用など)を明確にすることが非常に重要です。オンプレと違い、クラウドはサービス構成が柔軟な反面、設計の選択肢が多く、初期設計を誤ると費用が高騰する可能性があります。

要件定義では特に以下が重要です。

  • 負荷要件(ピーク時のアクセス量)
  • 復旧要求(RTO/RPO)
  • データ保持期間・暗号化ポリシー
  • 監査ログの要件
  • サービス間連携方式(API / メッセージング)

アーキテクチャ設計では、クラウドの特性を最大限生かしつつ、過剰設計を避けることが肝要です。必要以上に複雑な構成を選んでしまうと、運用負荷やコストが増加するため、シンプルで理解しやすい構成が推奨されます。

クラウドネイティブ開発の進め方

クラウドネイティブ開発では、マイクロサービス・コンテナ・サーバーレスなどを活用してシステムを疎結合に保ち、変更に強い構成を目指します。

以下の特徴があります。

  • CI/CD による高速デプロイ
  • IaC による環境構築の自動化
  • オートスケールによる負荷変動への対応
  • メトリクス・ログ・トレースによる Observability(可観測性) の向上

特に Terraform・CloudFormation・Pulumi などの IaC ツールは、中規模以上のクラウド環境では一般的に利用されるようになっており、事実上の標準的な運用スタイルになりつつあります。環境の再現性が高まり、開発者間での設定差分によるトラブルを極小化できます。

開発後の運用・保守ポイント

クラウド運用では次のポイントが重要です。

  • コスト最適化:利用量の可視化、不要リソース削減
  • 監視:CPU・メモリ・エラー率・遅延の監視
  • セキュリティ:IAM管理、ログ監査、ポリシーの定期点検
  • 障害対応:アラート設定、復旧手順書の整備
  • DR対策:バックアップ、リージョン障害を想定した設計

クラウドは便利である一方、設定ミスによる情報漏洩などのリスクもあるため、運用設計・ガバナンスは欠かせません。

クラウド開発で失敗しないためのポイント

技術選定の判断軸

クラウドサービスは膨大にあるため、自社の要求を整理してから最適な選択肢を検討する必要があります。

主な判断軸は以下のとおりです。

  • ビジネス要件に合っているか
  • 将来的な拡張性・スケーラビリティ
  • 利用するチームのスキルセット
  • コスト構造の明快さ
  • 運用負荷の大きさ
  • セキュリティ要件との整合性

最初は最小構成でスタートし、段階的に拡張していくアプローチ(スモールスタート)が推奨されます。

セキュリティ・ガバナンスの考え方

クラウドを安全に運用するためには、IAMによるアクセス制御、暗号化、ネットワーク境界の保護、ログ監査、脆弱性管理が重要です。特に「最小権限の原則」や「ゼロトラスト」の概念を取り入れ、アクセス権限を細かく管理することが必須です。

また、マルチアカウント戦略や、監査用アカウントの分離など、組織規模に応じた運用ルールを整備することがリスク削減につながります。

外部パートナー選定時のチェック項目

クラウド開発は専門性が高く、インフラ設計・セキュリティ・運用など多岐にわたる知識が必要です。そのため、外部パートナーの選定は慎重に行う必要があります。

チェックすべき項目は次のとおりです。

  • クラウド認定資格(AWS, Azure, GCP)
  • 類似システムの実績
  • セキュリティ設計の知見
  • 運用設計や監視体制の提案力
  • コスト最適化の経験
  • 要件定義~運用まで一貫対応できるか

長期的に伴走できるパートナーを選ぶことが、クラウド開発成功の鍵となります。

まとめ

クラウドシステム開発は、高い柔軟性・拡張性・コスト効率を実現できる現代の標準的な開発手法です。本記事ではクラウドの基礎から主要サービスの比較、開発プロセス、注意点までを体系的に解説しました。自社のDX推進や業務改善を加速するためにも、クラウドを正しく理解し、最適な開発体制を整えることが重要です。

クラウド導入に関する不明点や設計・開発の相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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