システムフローと業務フローの違いを徹底解説|目的・使い分け・図の描き方まで整理

公開日:2026/01/16 更新日:2026/01/16
  • Web開発

システムフローと業務フローの違いを徹底解説|目的・使い分け・図の描き方まで整理

公開日:2026/01/16 更新日:2026/01/16
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初めに

システム開発や業務改善の現場では、「業務フロー図」と「システムフロー図」が頻繁に用いられます。しかし、両者の違いを正確に説明できるかと問われると、曖昧な理解のまま使われているケースも少なくありません。
業務フローとシステムフローは、いずれも業務の流れを可視化する点では共通していますが、目的・視点・表現対象が明確に異なる図です。これらを混同したまま資料を作成すると、要件の誤解や認識齟齬を招き、手戻りや品質低下につながるリスクがあります。
本記事では、「システムフロー業務フロー違い」を軸に、それぞれの定義や役割、作成すべきタイミング、実務での正しい使い分け方を体系的に整理します。要件定義や設計資料の精度を高めたい方にとって、実践的な判断軸を提供する内容となっています。

業務フローとは何か

業務フローの定義と目的

業務フローとは、企業や組織における業務の進め方を、人・組織・手順の観点から時系列で整理したものです。業務の開始から終了まで、「誰が」「何を」「どの順番で」行うのかを明確にし、業務全体の構造を可視化します。

業務フローの最大の目的は、業務内容を属人化させず、誰が見ても同じ理解ができる状態を作ることにあります。日常業務は暗黙の了解や慣習によって回っていることが多く、文書化されていない手順や判断が数多く存在します。業務フローは、そうした曖昧な業務を整理し、形式知として共有するための重要な手段です。

また、業務フローは単なる「業務説明資料」ではなく、業務改善やシステム導入の土台となる資料でもあります。業務の全体像を正しく把握できなければ、適切な改善策やシステム要件を導き出すことはできません。

 

業務フロー図で表現する範囲

業務フロー図では、業務を理解するために必要な要素を過不足なく表現します。主に以下のような内容が対象となります。

  • 業務の開始条件と終了条件
  • 各業務ステップの内容
  • 担当部署・担当者の役割
  • 判断・承認・差戻しといった業務上の意思決定
  • 書類や情報の受け渡し

重要なのは、業務フローは「業務そのもの」を表現する図であり、システムの内部処理を詳細に書くものではないという点です。どの画面で何を入力するか、どのテーブルにデータが登録されるかといった情報は、業務フローの本来の目的から外れます。

業務フローでは、業務の流れが理解できるレベルの粒度を保つことが求められます。

 

業務フローが活用される主なシーン

業務フローは、以下のような多くの実務シーンで活用されます。

  • 現行業務の可視化・棚卸し
  • 業務改善(BPR)の検討
  • システム導入・刷新前の業務整理
  • 業務引き継ぎ・教育資料
  • 内部統制や監査対応

特にシステム開発においては、業務フローを整理せずに要件定義へ進むことは大きなリスクとなります。業務フローが不十分なままシステム化を進めると、業務実態と乖離したシステムが出来上がり、結果として現場で使われないシステムになってしまう可能性があります。

 
 

システムフローとは何か

システムフローの定義と目的

システムフローとは、システムを主語として、処理やデータの流れを時系列で整理した図です。ユーザー操作や外部システムからの入力を起点に、自システムの処理に加えて外部連携を含め、どの処理が行われ、どのような結果が出力されるのかを明確にします。

システムフローの目的は、システムの動作を正確に定義し、設計・開発・テストに関わる関係者の認識を揃えることにあります。特に、開発担当者やテスト担当者にとっては、処理内容を理解するための重要な仕様資料となります。

業務フローが「業務の理解」を目的とするのに対し、システムフローは「システムを正しく作ること」を目的とした資料である点が大きな違いです。

 
 

システムフロー図で表現する範囲

システムフロー図では、業務フローよりも詳細な視点で、以下のような要素を表現します。

  • 入力データと出力データの内容
  • 処理の順序や分岐条件
  • エラーや例外処理の流れ
  • 外部システムとの連携
  • データ登録・更新・参照の流れ

ここでは、人の判断や業務背景よりも、システムとしてどのような処理が行われるかを明確に示すことが重視されます。記載内容が曖昧なままでは、実装やテスト時に解釈のズレが生じてしまいます。

 
 

システムフローが必要になる場面

システムフローは、要件定義後の基本設計・詳細設計フェーズで作成されることが多い資料です。

ただし、小規模開発やアジャイル開発では、画面遷移図・ユースケース・シーケンス図などで同等の意図を補うケースもあります。また、以下のような場面でも重要な役割を果たします。

  • 開発者への仕様説明
  • テストケース作成
  • 障害発生時の原因調査
  • システム改修時の影響範囲確認

システムフローが整理されていない場合、処理の全体像が把握できず、改修や障害対応に多くの時間を要することになります。そのため、システムフローは「開発時だけの資料」ではなく、運用・保守まで含めた長期的な資産として位置づけることが重要です。

 

システムフローと業務フローの違い

視点と主語の違い

システムフローと業務フローの最も本質的な違いは、「何を中心に物事を捉えているか」という視点の違いにあります。
業務フローは人や組織の行動を主語としており、「誰が」「どの業務を」「どの順序で」行うのかを明確にすることが目的です。そのため、業務フロー図では担当部署や役割分担が重視され、業務上の判断や承認といった人の意思決定が重要な要素となります。

一方、システムフローはシステムそのものを主語としており、「どの処理が」「どの条件で」「どの順序で」実行されるのかを表現します。ここでは人の判断よりも、処理ロジックやデータの流れが中心となり、技術的な正確性が強く求められます。

この主語の違いを意識しないままフロー図を作成すると、業務説明とシステム説明が混在し、どちらの目的も満たさない中途半端な資料になってしまいます。

 

対象範囲と詳細度の違い

業務フローは業務全体を俯瞰することを目的とするため、対象範囲が広く、一定の抽象度を保った表現が求められます。業務の開始から終了までの流れを整理し、「業務として成立しているか」「無駄や重複がないか」を確認するための資料です。

一方、システムフローは対象範囲をシステム内部に絞り込み、処理単位で詳細に表現します。入力データ、処理分岐、例外処理、外部連携など、実装やテストに必要な情報を具体的に記載する必要があります。

このため、業務フローと同じ粒度でシステムフローを描こうとすると情報不足になり、逆に業務フローにシステムレベルの詳細を書き込みすぎると、全体像が把握しづらくなります。

 

成果物としての役割の違い

業務フローは、関係者間の合意形成や業務理解を目的とした成果物です。業務担当者、管理者、IT部門など、立場の異なる関係者が同じ業務イメージを共有するために使われます。

一方、システムフローは、設計・開発・テストを進めるための仕様資料という役割を担います。ここでの曖昧さは、そのまま実装ミスや仕様漏れにつながるため、業務フロー以上に厳密さが求められます。

この役割の違いを理解することで、「誰のための資料なのか」「どこまで書くべきか」という判断がしやすくなります。

 

業務フロー図とシステムフロー図の使い分け方

要件定義フェーズでの使い分け

要件定義フェーズでは、まず業務フロー図を作成し、現行業務の流れと課題を整理することが重要です。この段階では「システムでどう実現するか」ではなく、「業務として何が行われているか」「どこに問題があるか」に焦点を当てます。

業務フローを整理した上で、システム化が必要な業務範囲を切り出し、その結果としてシステム要件が定義されます。いきなりシステムフローを描き始めると、業務の本質を見落としたままシステム設計が進んでしまうリスクがあります。

 

設計・開発フェーズでの使い分け

設計・開発フェーズでは、主役はシステムフロー図になります。ここでは、業務フローで整理した業務内容を、システム処理としてどのように実現するかを具体化していきます。

業務フローは背景理解の資料として参照しつつ、システムフローでは処理の順序、分岐条件、エラー時の挙動までを明確にします。この段階で業務フローとシステムフローの対応関係が取れていないと、業務要件が正しく実装されない可能性があります。

 
 

関係者説明・レビュー時の注意点

フロー図を使った説明では、説明相手に合わせた資料選択が非常に重要です。業務担当者や管理者に対してシステムフローをそのまま見せても、処理の意図が伝わらないことがあります。

逆に、開発担当者に業務フローだけを提示すると、処理内容を具体的にイメージできず、認識違いが生じやすくなります。説明の場では、「誰に」「何を理解してもらいたいのか」を意識してフロー図を使い分けることが求められます。

 
 

フロー図を正しく使うためのポイント

混同しやすい失敗パターン

代表的な失敗パターンとして、業務フローにシステム処理の詳細を詰め込みすぎるケースが挙げられます。この場合、業務全体の流れが見えにくくなり、業務改善の議論が進みません。

逆に、システムフローに業務上の判断や人の裁量を書き込みすぎると、処理条件が曖昧になり、実装やテストで解釈のブレが生じます。どちらも「フロー図の目的を意識していない」ことが原因です。

 

実務で迷わない判断基準

フロー図を作成する際は、次のような問いを自分に投げかけると判断しやすくなります。

  • 誰がこの図を見るのか
  • この図で何を理解してもらいたいのか
  • 人の動きを説明したいのか、処理の流れを説明したいのか

これらの問いに対する答えが明確であれば、業務フローとシステムフローのどちらを使うべきか自然と決まります。

 

両フローを併用する際のコツ

実務では、業務フローとシステムフローを併用するケースが多くあります。その際は、両者を一つの図に無理にまとめるのではなく、役割を分けた上で対応関係を明示することが重要です。

例えば、業務フロー上の業務単位に対応するシステムフローを別途作成し、参照関係を持たせることで、業務とシステムの整合性を高めることができます。

 

まとめ

業務フローとシステムフローの違いを正しく理解し、目的に応じて使い分けることは、システム開発や業務改善の品質を大きく左右します。特に要件定義や設計段階での整理不足は、後工程で大きなコストとなって表面化します。

もし「自社の業務にどこまで業務フローを書き、どこからシステムフローに落とし込むべきか分からない」「要件定義資料の精度を高めたい」といったお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。貴社の状況に合わせた最適な整理方法をご提案いたします。

 

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