アプリ開発会社の選び方|費用相場・比較ポイント・失敗しない外注方法をわかりやすく解説
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初めに
目次
アプリ開発会社とは?
アプリ開発会社の役割とできること
アプリ開発会社とは、スマートフォン向けアプリやWebアプリケーションを企画から設計、開発、運用まで一貫して提供する企業を指します。依頼者が持つサービスアイデアを形にするため、要件整理・UI/UXデザイン・プログラミング・サーバー構築・テスト・ストア申請など、多岐にわたる工程を担当します。また、リリース後の改善提案や機能追加にも対応することが多く、プロダクトの成長を継続的に支援する役割を担います。
アプリ開発は「ただ画面を作ればよい」という単純な作業ではなく、以下のような幅広い領域を総合的に組み合わせて初めて成立します。
● 企画・要件整理
市場調査、競合アプリの分析、ユーザー行動の仮説づくりなど、アプリの成功確度を高めるための事前準備を行います。依頼者自身がビジョンを持っていても、それをアプリとして具現化できる形に落とし込むには専門家による情報整理が不可欠です。
● UI/UXデザイン
操作性・利便性・視覚的魅力を考慮した画面設計を行います。特に近年はApple/GoogleがUIガイドラインを強化しているため、専門知識のあるデザイナーの存在が品質に直結します。
● フロントエンド開発
画面の動作部分を実装します。FlutterやReact Nativeなどクロスプラットフォーム技術の登場により、iOS/Androidを同時に開発するケースが増えています。
● バックエンド開発
データベース・API・ユーザー管理・決済処理・通知機能の実装など、アプリの根幹となる仕組みを構築します。堅牢なサーバー設計がなければ、どれだけ見た目が良くても運用に耐えられません。
● テスト・品質保証
単体テスト、結合テスト、負荷テスト、UIテストなどを行い、不具合を事前に取り除きます。特に商用アプリでは脆弱性チェックやセキュリティ検証も欠かせません。
● ストア申請サポート
App StoreとGoogle Playの審査やガイドラインは定期的にアップデートされており、申請ルールに慣れていない企業が独力で対応しようとすると不承認となるリスクが高まるため、開発会社がサポートするケースが一般的です。
● 運用・保守
リリース後の不具合対応、OSアップデート適応、機能追加、分析レポートなど、サービス成長のための継続改善に関与します。
単なる制作会社ではなく、開発・運用・改善までをサポートするパートナーとして機能するのがアプリ開発会社の大きな役割です。
アプリ制作とアプリ開発の違い
一般的な傾向として「アプリ制作」は見た目や画面の構築を重視し、「アプリ開発」はシステムの構造やデータ処理、機能実装など技術面を含む広い範囲を指すことが多いですが、実務上は両者を明確に区別せず、一社で両方を担うケースも少なくありません。
例えば、以下のような違いがあります。
アプリ制作は小規模案件との相性が良く、アプリ開発は中規模〜大規模案件で選ばれることが多い傾向にありますが、実際には予算や体制に応じて柔軟に組み合わせて検討されるケースも多くあります。
どんな企業が外注すべきか
外注が適しているのは、社内にエンジニアがいない企業、ITプロジェクトの知識が不足している企業、短期間で高品質なアプリを作りたい企業などです。
特に以下のケースでは外注が有効です。
● スタートアップ
限られたリソースでスピーディにサービスを形にしたい場合、開発会社の総合力が大きく活きます。要件定義からUI/UX、実装までまとめて外注することで、初期フェーズの立ち上げが容易になります。
● 中小企業
IT人材を採用するコストが高く、内製体制を整えるのが難しい場合、外注によって品質とスピードの両立が可能です。
● 大企業の新規事業部
社内システム部門が既存システムで手いっぱいの場合、新規アプリは外部に依頼するほうが早くローンチできます。
● 業務システムと連携する場合
API開発やサーバー構築など高度な技術が必要となるため、外部の専門会社に依頼したほうが確実です。
アプリ開発会社の選び方
比較すべき5つの基準(実績・技術力・費用・対応力・セキュリティ)
アプリ開発会社を選ぶ際は、次の5つを主要基準にすると失敗しにくくなります。
1. 実績(ポートフォリオ・業界経験)
過去の制作事例が多いほど、品質の確度が高くなります。
特に以下を確認すると失敗を防げます。
- 自社の業界に近い実績があるか
- アプリの規模が自社と近いか
- 継続開発の経験があるか
- ストア評価やレビューが良いか
また、「一度きりの開発」で終わらず、長期的なパートナーとして継続運用している案件が多い会社は信頼性が高い傾向があります。
2. 技術力
アプリは多様な技術の組み合わせで成り立つため、幅広い技術を扱える開発会社が望ましいです。
確認すべき技術スタック例
- フロントエンド
Flutter / React Native / Swift / Kotlin / SwiftUI / Jetpack Compose - バックエンド
Node.js / Laravel / Django / Rails - インフラ
AWS / GCP / Azure - データベース
MySQL / PostgreSQL / DynamoDB - その他
Firebase、認証基盤、決済システム、通知インフラ
最新技術に対応している会社は、メンテナンス性や拡張性の高いアプリを作れる可能性が高いです。
3. 費用の適正性
見積もりが安い=お得、ではありません。
低価格の裏には以下のリスクがあります。
- 工数が不足して品質が下がる
- バックエンド構築が省略される
- 納期が遅れる
- リリース後に追加費用が膨らむ
見積もりが低価格の場合、必ずしも問題があるわけではありません。ただし、工数や機能、運用・保守の範囲が十分かどうかを確認することが重要です。
4. 対応力(コミュニケーション能力)
アプリ開発は完成まで数ヶ月以上かかります。そのため、レスポンスの速さ、説明の分かりやすさ、要望の理解力など、コミュニケーション品質は最も重要なポイントの一つです。
対応力が高い会社の特徴
- 提案力がある
- 要件の意図まで理解しようとする
- 定例MTGで進捗を共有してくれる
- リスクを事前に伝える
- 修正依頼に対してスピーディに対応する
5. セキュリティ
アプリは個人情報・決済情報を扱う機会が多く、セキュリティ知識の有無はほぼ必須と言ってよい重要な要素です。
チェックポイントの例:
- HTTPS通信の実装
- 認証・認可の設計(OAuth2、Cognitoなど)
- XSS/SQLインジェクション対策
- データ暗号化
- ログ監視体制
- セキュリティ専門家によるレビューの有無
避けるべき会社の特徴
- 見積もりが極端に安すぎる
- 実績の公開がほとんどない
- コミュニケーションが曖昧でレスが遅い
- 要件の質問が少なく、深掘りをしない
- 修正対応のルールが不明確
- 契約書が形式的で内容が薄い
- エンジニアを外部委託に大きく依存しているにもかかわらず、プロジェクト管理や品質管理の体制が見えない
これらの特徴がある会社は、開発途中でトラブルに発展する可能性が高い傾向があります。
初心者がやりがちな選定ミス
アプリ開発初心者の担当者が陥りやすい失敗例をまとめます。
● 1. 価格だけで判断する
格安見積もりは魅力的に見えますが、工数不足が品質低下につながることが多く、後悔するケースが多いです。
● 2. 技術的な質問をしない
技術レベルを判断できず、結果として力量不足の会社に依頼してしまうことがあります。
● 3. 要件が曖昧なまま発注する
仕様が固まっていない状態だと、見積もりの精度が低くなり、途中で追加費用が膨らむ原因になります。
● 4. 納期優先で無理なスケジュールを要求
結果として粗い仕様や品質低下につながり、サービスの競争力が落ちます。
● 5. 保守契約を結ばずリリースしてしまう
OSアップデートによる不具合が発生し、特に機能が多いサービスやビジネスクリティカルなアプリでは、緊急対応で高額になることがあります(一部のシンプルなアプリの場合では影響が比較的少ないケースもあります)。
アプリ開発の費用相場と見積もりの仕組み
アプリの種類別の料金相場
以下は代表的なアプリ開発の相場目安です。
※注意
費用相場はあくまで目安です。アプリの機能や規模によって、同じジャンルでも数倍の差が出る場合があります。たとえばマッチングアプリは、小〜中規模であれば300〜1000万円程度ですが、多機能・大規模案件では1000万円以上、場合によっては数千万円に達することもあります。
見積もりが高額化する要因
アプリの見積もりが高くなる代表的要因は以下の通りです。
● 画面数が多い
一般的にシンプルなUIの画面であれば「1画面=数万円〜」程度の工数が必要になるため、画面数が多いアプリほど費用が上がります(バックエンド連動や複雑な処理を伴う画面では、1画面あたり十数万〜数十万円になることもあります)。
● 複雑な検索機能
タグ検索、絞り込み検索、全文検索などはデータ構造が複雑になるためコストが増えます。
● 管理画面の実装
管理画面はアプリと同じかそれ以上の工数が必要となることがあり、全体費用の30〜40%を占めることもあります。
● API連携・外部サービス連動
決済(Stripe/PayPay)、SNSログイン、地図、動画配信、チャット機能などの連携は難易度が高く、追加費用がかかります。
● セキュリティ要件の高さ
ユーザー情報を扱う場合は、ログ監視や暗号化、認証基盤構築が必要となり、工数が増加します。
適正見積もりを判断するチェックポイント
- 機能ごとの工数が明確に記載されている
- 必要な作業と不要な作業が明確に分けられている
- 見積もり理由の整合性がある
- 極端に安い金額になっていない
- 追加費用が発生する条件が明確
- 運用・保守のコストも提示されている
- サーバー費用やストレージ費用も含まれている
透明性の高い見積もりは信頼できる開発会社の特徴です。
開発プロセスと依頼の流れ
要件定義からリリースまでの流れ
一般的なアプリ開発は次のステップで進行します。
- 要件ヒアリング
ビジネスモデル、ターゲットユーザー、競合、必要機能を整理します。 - 要件定義・仕様策定
機能要件・非機能要件を文書化し、画面遷移図やデータ構造を定義します。 - UI/UXデザイン
ワイヤーフレーム → モックアップ → デザインカンプの順で進めます。 - 開発(フロント・バックエンド)
機能実装、API開発、サーバー構築を行います。 - テスト
単体・結合・総合テスト、負荷テスト、ユーザビリティテストなどを実施します。 - ストア申請・リリース
申請書作成、プライバシーポリシー準備、スクリーンショット作成なども行います。
制作会社とのコミュニケーションのコツ
- 図・資料・動画を活用して認識を揃える
- レスポンス期限を明確にする
- 定例ミーティングで進捗を共有する
- 修正依頼は「なぜ修正したいのか」背景まで伝える
- 課題や懸念点は早期に共有する
- Slack/Notion/Trelloなどのツールを活用する
開発会社とクライアントのコミュニケーション品質は、完成物の品質に直結します。
進行管理・契約で注意すべき点
- 契約書の範囲(仕様変更ルール・追加費用)
- 著作権や成果物の扱い
- 納期・支払いスケジュール
- 運用・保守契約の有無
- ソースコードの所有権
- サーバー費用の負担区分
- セキュリティ責任の範囲
契約内容を曖昧にすると、トラブルが発生しやすいため注意が必要です。
アプリ開発会社に依頼するメリット・デメリット
外注のメリットと向いているケース
- 専門技術を活用できる
- 短期間で高品質なアプリを構築できる
- UI/UXデザインの精度が高い
- 自社採用のコストを削減できる
- 失敗しにくい構造で開発できる
- 運用・保守まで対応可能
特に向いているケース
- 早く市場投入したい
- 社内にエンジニアがいない
- 高度なバックエンドが必要
- 新規事業をスピーディに検証したい
外注のデメリットと対策
● デメリット
- 費用が高め
- コミュニケーションが必要
- 様を明文化しないと認識齟齬が起きやすい
- 修正対応に時間がかかることがある
● 対策
- 要件を資料化する
- 定例会議を設ける
- 段階的に機能を開発する(MVP)
- 実績豊富な会社を選ぶ
内製と外注の比較ポイント
企業のフェーズや予算に応じて最適解を選択することが重要です。
まとめ
アプリ開発会社を選ぶ際には、実績・技術力・費用・対応力・セキュリティの5つを中心に比較することが欠かせません。また、適切な見積もりの判断方法や開発プロセスを理解しておくことで、外注の失敗リスクを大幅に減らせます。初めてアプリを作る担当者でも、この記事で整理した基準を用いれば、目的に合った最適な開発パートナーを見つけやすくなります。
信頼できる外注先選びについて専門的なアドバイスが必要な場合にぜひご参考ください。
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