API連携とは?仕組み・メリット・セキュリティをわかりやすく解説

2025/06/17
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API連携とは、異なるシステム同士をスムーズにつなぎ、データや機能を自動的にやり取りする仕組みです。近年、業務の効率化やシステム統合の重要性が高まり、API連携の需要が急増しています。本記事では、API連携の基本的な仕組みから具体的なメリット、導入時に押さえるべきセキュリティ対策までを詳しく解説し、これから導入を検討する企業や技術者の疑問を解消します。

API連携の基本とは

APIの定義と役割

API(Application Programming Interface)は、ソフトウェア同士が相互に情報や機能をやり取りするための「接点」として機能します。言い換えれば、APIは異なるシステム間の橋渡し役であり、例えばあるシステムの機能を外部に公開し、それを別のシステムから利用可能にする窓口となります。

これにより、複数のシステムが独立して動作しながらも、必要に応じてデータを交換したり、処理を連携させたりすることが可能です。現在、多くの企業で業務に複数のシステムを活用しており、それらの連携をスムーズに行うためにAPIの存在は不可欠です。

APIはプログラムが互いにやり取りする「約束事」としての役割も担い、呼び出し方や返り値の形式が規定されているため、開発者は仕様に従うだけでシステム連携を実装できます。これにより、開発工数の削減や、システム間の連携の標準化が可能となっています。

https://www.ntt.com/business/services/rink/knowledge/archive_18.html

API連携の仕組み

API連携は、一方のシステムがAPIを提供し、もう一方がそのAPIを利用してデータや機能を呼び出すことで実現します。例えば、顧客管理システムのAPIから顧客情報を取得し、販売管理システムで活用するケースがあります。

呼び出し元はAPIに「リクエスト(要求)」を送り、APIは処理結果を「レスポンス(応答)」として返します。この通信は主にHTTPを使い、シンプルで拡張しやすいREST APIが多く採用されています。SOAP APIはXMLを使い堅牢さが求められる場面で使われます。

API連携により、システム間の手作業が減り、業務の効率化が進みます。

API連携が注目される背景

近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、多様なシステムやクラウドサービスを組み合わせて活用する企業が増えています。その中で、これまで手作業やバッチ処理で行われてきたデータ連携では、リアルタイム性や柔軟性の要求に応えられなくなってきました。

こうした背景から、APIを介したリアルタイムなデータ連携が求められるようになり、API連携の重要性が高まっています。また、クラウドサービスが普及し、多様なサービスを簡単に組み合わせて使うことができるようになったため、API連携がサービス間の「接着剤」として不可欠な存在となりました。

さらに、モバイルアプリの普及やIoTデバイスの増加によって、多数の異なるシステムが連携する必要性も高まっており、APIはその基盤技術として注目されています。

API連携のメリット

業務効率化の具体例

API連携による最大のメリットは、業務の効率化です。具体的には、ECサイトと在庫管理システムをAPIで連携させることで、注文データがリアルタイムで在庫管理システムに反映され、在庫の過剰発注や欠品を未然に防ぐことができます。

また、営業支援システム(SFA)と顧客管理システム(CRM)を連携させると、営業担当者が入力した顧客情報が双方のシステムで同期されるため、重複入力の手間が削減され、営業活動に専念できる時間が増えます。

その他にも、勤怠管理システムと給与計算システムを連携することで、勤怠データの転記ミスや入力遅延がなくなり、給与計算の正確性とスピードが向上します。このように、API連携はさまざまな業務プロセスの効率化に直結します。

コスト削減効果

API連携を活用すれば、既存ソフトウェアの機能をそのまま利用でき、新機能の設計・開発・テストにかかる工数を大幅に削減できます。これにより、開発コストの抑制と導入スピードの向上が実現します。さらに、人手による運用作業も減り、運用コストの低減にも寄与します。クラウド型サービスとの連携も容易で、機器導入やSIが不要なケースも多く、全体のITコスト負担を軽減できます。結果として、リソースを本来の業務や戦略的施策に集中させやすくなります。

業務品質の向上

API連携によってシステムがリアルタイムに連動することで、情報の一元管理が実現し、データの整合性が保たれます。これにより、最新の正確な情報に基づく迅速な意思決定が可能となり、業務の品質が向上します。

例えば、顧客対応においても、最新の注文状況や問い合わせ履歴を即座に把握できるため、的確でスムーズな対応が可能です。これが顧客満足度の向上やリピート率の増加につながります。

さらに、API連携はサービスの柔軟性と拡張性も高め、変化するビジネスニーズに対応しやすくなるため、長期的に高い業務品質を維持できます。

API連携の仕組み詳細

REST APIとSOAP APIの違い

API連携で代表的な通信方式はREST APIとSOAP APIの二つです。REST APIは、HTTPプロトコルのGET、POST、PUT、DELETEなどのメソッドを利用し、URLでリソースを指定して操作する軽量な通信方式です。JSON形式のデータ交換が主流で、人間にも読みやすく開発者からも扱いやすいのが特徴です。

一方、SOAP APIはXMLベースのメッセージを使い、より複雑で堅牢な仕様を持ちます。エラー処理やセキュリティ機能が充実しており、企業の大規模システムや金融機関などで多く利用されています。

用途やシステムの要件に応じて、拡張性や軽量さを重視するならREST API、堅牢なトランザクション制御やセキュリティが必要ならSOAP APIが適しています。

認証とセキュリティの基礎

API連携において最も重要なポイントの一つが認証とセキュリティです。不正アクセスや情報漏洩を防ぐために、APIを利用する際には利用者の認証が不可欠です。

主な認証方式としてAPIキー認証、OAuth 2.0、Basic認証があります。APIキー認証は簡便ですがキーの管理が重要で、漏洩リスクがあります。OAuth 2.0はトークンを利用し、第三者に権限を限定的に付与できるため、多くのWebサービスで標準的に採用されています。

通信はHTTPSで暗号化し、盗聴や改ざんを防止します。また、アクセス権限の設定や入力データの検証も重要で、これらの基礎を理解しておくことが安全なAPI連携の第一歩です。

データ連携の流れ

API連携の基本的な流れは以下の通りです。

  1. クライアントがAPIサーバーにHTTPリクエストを送信する。リクエストには操作対象やパラメータが含まれる。
  2. APIサーバーがリクエストを受け取り、処理を実行する。
  3. 処理結果や要求されたデータをレスポンスとして返す。
  4. クライアントはレスポンスを受け取り、必要に応じて表示や後続処理を行う。

エラーが発生した場合は、HTTPステータスコード(400系や500系など)とエラーメッセージが返され、原因に応じた対処が可能となります。

このシンプルなリクエスト・レスポンスの仕組みが、システム間連携を自動化し、効率的に実現します。

API連携のセキュリティ対策

API連携は企業システムの効率化やサービス連携に欠かせない一方で、セキュリティリスクも潜んでいます。適切な対策を講じることが安全な運用の要です。この章では、API連携における代表的なリスクとその対策、主要な認証方式、安全運用のポイントについて解説します。

よくあるリスクと対策

APIを介したシステム連携では、以下のようなリスクが特に注意されます。

  • 認証情報の漏洩
    APIキーやアクセストークンが漏れると不正アクセスの危険があります。
    【対策】安全な保管と定期的な更新、不要キーの無効化、権限管理を徹底します。
  • APIの不適切な公開
    広範なアクセス権は攻撃リスクを高めます。
    【対策】必要最低限の権限付与とアクセス範囲の限定、エンドポイントごとの制御が重要です。
  • インジェクション攻撃(SQLインジェクション等)
    悪意あるコードがデータベースに渡ると不正操作が可能に。
    【対策】データのサニタイズ、入力検証、パラメータ化クエリの活用で防ぎます。
  • 通信の盗聴や改ざん
    暗号化されていない通信は情報漏洩のリスクがあります。
    【対策】HTTPSとTLSによる通信の暗号化が必須です。

これらのリスクに対しては、企業のセキュリティポリシーに基づいた多層防御を行うことが最善策です。

認証方式の種類

API連携において利用者やシステムの正当性を確認する認証は非常に重要です。主な認証方式には以下のようなものがあります。

Basic認証

ユーザー名とパスワードで認証するシンプルな方式。
暗号化されないためセキュリティ面はやや弱い。

APIキー認証

API提供者から発行されたキーでユーザーを識別。
HTTPS化や有効期限設定でセキュリティ向上が可能。

OAuth認証

外部サービスへの一時的なアクセス許可をトークンで制御。
パスワードを共有せず安全に情報連携できる点が特徴。

Tokenベース認証

発行されたトークンでアクセスを許可する仕組み。
デジタル/物理トークンがあり、権限や有効期限を設定可能。

用途やセキュリティ要件に応じて適切な認証方式を選びましょう。

安全な運用のポイント

API連携を長期にわたり安全に運用するためには以下のポイントが重要です。

  1. アクセスログの監視
    APIへのアクセス履歴は必ず記録し、定期的に監査します。不審なアクセスや異常なリクエストを早期に発見するためです。
  2. 最小権限の原則の徹底
    ユーザーやシステムに与えるアクセス権限は必要最低限に絞り込み、権限の過剰付与を避けます。特にAPIキーやトークンの権限設定は厳密に行いましょう。
  3. 脆弱性診断・ペネトレーションテストの実施
    APIは公開されている部分が多く攻撃対象になりやすいので、定期的に脆弱性診断や侵入テストを実施し問題点を洗い出します。
  4. APIバージョン管理
    API仕様は変更が起こりやすく、利用者に影響が出ます。バージョニングを行い、旧バージョンの廃止計画も明確にしておくことが重要です。
  5. セキュリティポリシー・運用ルールの整備
    APIの利用ルール、アクセス管理の規定、障害対応手順を文書化し、関係者間で共有します。
  6. 自動化ツールの活用
    API監視ツールや認証管理ツールを利用して運用負荷を軽減しつつ、セキュリティの抜け漏れを防ぎます。

API連携の導入事例

API連携は多様な業界で活用されており、業務の効率化やサービス品質向上に大きく寄与しています。ここでは業種別の活用例、成功事例から得られるポイント、導入時の注意点を具体的に解説します。

業種別の活用例

  • 製造業
    生産管理システムと在庫管理システムのAPI連携により、製造ラインの部品在庫をリアルタイムで管理。欠品を防ぎ、過剰在庫の削減にもつながります。また、品質管理システムとの連携で製造データを分析し、不良品率の低減に活用されています。
  • 小売業
    POS(販売時点情報管理)システムとECサイトを連携させることで、店舗とオンラインの在庫や販売情報を同期。キャンペーン情報も連携して顧客に一貫したサービスを提供し、販売機会の最大化に貢献しています。
  • 金融業
    顧客情報管理システムと与信審査システムのAPI連携により、申込受付から審査結果の通知までの処理を自動化。審査スピードが向上し、リスク管理も強化されています。さらにAPIを活用した外部サービスとの連携も進んでいます。
  • 物流業
    配送管理システムと倉庫管理システムの連携により、荷物の追跡情報をリアルタイムで更新。顧客への正確な配送状況通知が可能となり、顧客満足度の向上に寄与しています。

成功事例から学ぶポイント

API連携の成功例には共通する要素が存在します。

  • 目的の明確化
    何のためにAPI連携を行うのか、具体的な業務課題や目標を明確に定めることが初動で重要です。目標が曖昧だと開発の方向性がぶれ、結果的に効果が薄くなることがあります。
  • 段階的な導入計画
    一度に大規模なシステム連携を進めるのではなく、まずはコアな機能から小さく始めて検証し、問題点を改善しながら段階的に範囲を広げる手法がリスクを低減します。
  • テストと検証の徹底
    API連携の導入前・導入中に十分なテストを重ね、各システム間のデータ整合性やエラー処理の動作を検証します。これにより運用後のトラブルを減らせます。
  • 関係者間の密なコミュニケーション
    開発者だけでなく、運用担当者や業務部門との連携を密にし、現場の要望や問題点を反映させることが成功の鍵となります。
  • セキュリティ対策の徹底
    上記の通りセキュリティ面を疎かにしないことは、企業信頼やサービス継続性に直結します。

導入時の注意点

API連携を導入する際に特に注意すべきポイントは以下のとおりです。

  • 仕様変更に強い設計を心がける
  • 障害発生時の復旧計画を準備する
  • ドキュメントの充実
  • 運用ルールの整備
  • 利用者教育の実施

これらのポイントを踏まえ、計画的かつ慎重にAPI連携を導入することで、システム間のスムーズな連携と安全な運用が実現できます。

まとめ

API連携は業務効率化に欠かせませんが、セキュリティ対策も重要です。適切な認証やアクセス管理、通信の暗号化を行い、段階的な導入が成功の鍵となります。

業務内容やシステム環境に応じた柔軟な設計が、効果的な連携のポイントです。

当社は設計から運用まで一貫して支援します。システム連携や安全性でお困りの際は、お気軽にご相談ください。最適な提案でサポートいたします。

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