アジャイルとウォーターフォールの違いは?特徴・向き不向き・選び方をわかりやすく解説
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初めに
目次
アジャイルとウォーターフォールの基本概要
ウォーターフォール開発の特徴
ウォーターフォール開発は、「要件定義 → 設計 → 実装 → テスト → 運用」と工程が上から下へ一方向に流れる“段階型”の手法です。各工程の成果物が明確であり、ドキュメントに基づいて進行するため、規模の大きいプロジェクトや複数部門が関わる案件でも統制が取りやすい点が特徴です。
特に、事前に要件が固まっていて変更が少ない場合は、有効なスケジュール管理と品質保証が可能になります。金融、行政、製造など、厳格性が求められる領域で多く採用されています。
ウォーターフォールの強みは、プロジェクト開始時点で要件が明確であることを前提とした計画の立てやすさにあります。見積の精度が高めやすく、リリース時期が契約上で厳密に決められている案件や、ステークホルダーが多く変更が許されない環境では非常に効果を発揮します。またドキュメントが体系的に整備されるため、担当者の交代や引き継ぎが発生してもプロジェクト継続性が担保されやすく、ガバナンスを重視する企業文化との相性も高いといえます。
アジャイル開発の特徴
アジャイル開発は、短い開発サイクルを繰り返し、プロダクトを小さく段階的に作り上げていく“反復型”の手法です。なお、スクラムを採用する場合は、この区切りを「スプリント」と呼ぶのが一般的です。顧客やユーザーとの対話を重視し、要件の変更を前提として業務を進められるため、市場やニーズの変化が早い現代の開発環境に適しています。
計画はスプリントごとに見直され、リリース可能な成果物を継続的に提供することが求められます。これにより、早期に動くプロダクトを提示し、ユーザーやステークホルダーから具体的なフィードバックを得ることができ、結果として価値の高いプロダクトを効率よく実現できます。
このように、仮説と検証を短いサイクルで繰り返せる点がアジャイルの大きな特徴です。早い段階で課題や方向性のズレに気づけるため、後工程での大きな手戻りを防ぎやすくなります。
また、優先順位の見直しが柔軟にできることから、競争環境が激しい領域や、仮説検証を繰り返す必要のある新規事業のシーンでも強く支持されています。
両手法の歴史的背景と普及の流れ
ウォーターフォールは、1970年代のソフトウェア工学の文脈で段階的に開発を進める考え方が広まり、のちに“ウォーターフォール”として定着していきました。特に日本では品質管理や工程管理の考え方が製造業の文化と合致し、大規模開発を中心に標準手法として定着していきました。
一方アジャイルは、2001年に「アジャイルソフトウェア開発宣言」が公開されたことで思想が広く普及しました。Webアプリケーションやモバイルアプリの普及に伴い、短い開発サイクルで改善を続ける必要性が高まり、スタートアップやインターネット企業を中心に急速に採用が進みました。
今日では業種を問わずアジャイルを選ぶ企業が増えていますが、ウォーターフォールも依然として基幹システムや公共系開発で欠かせない手法として共存しています。
アジャイルとウォーターフォールの違い
進め方(段階型 vs 反復型)の違い
ウォーターフォールは、工程を上流から下流へ一方向に進めるため、プロジェクト全体の構造が明確で、工程ごとに管理すべきタスクが整理しやすいという特徴があります。各工程が終わらないと次に進めない仕組みは、品質や整合性を高める一方で、手戻りに弱い面もあります。
特に、後工程で仕様変更が発生した場合は、再設計や再テストが必要となり、コストやスケジュールへの影響が大きくなりやすい点に注意が必要です。
アジャイルは、計画→実装→検証→改善というサイクルを何度も繰り返すため、仕様変更に強く、ユーザーの期待値に素早く対応できます。
ただし反復が前提となる分、プロジェクト管理には高い透明性が求められ、チームの成熟度やプロダクトオーナーの判断力が成果に大きな影響を与えます。
どんな人に向いているか
アジャイルが向いているのは、対話を通じて意思決定しながら進めることに前向きなチームや担当者です。プロダクトオーナーが優先順位を迅速に判断でき、開発メンバーが自律的に動ける体制では、変化への対応力を最大限に活かせます。
一方、ウォーターフォールが向いているのは、事前合意と変更管理を重視し、レビュー・承認・ドキュメントに基づいて進めることに適した体制や担当者です。ステークホルダーが多く、要件の固定や監査対応が求められる環境では、計画性と統制の強みが発揮されます。
リスク管理・品質管理の違い
ウォーターフォールでは各工程の完了時に審査ポイントが設けられており、仕様書・設計書・試験項目などのドキュメントに基づいて品質を担保します。大規模プロジェクトやミッションクリティカル領域での信頼性確保に強みがあります。
アジャイルでは、テスト自動化・コードレビュー・デイリースクラムなど、短いサイクルの中で品質を保つ仕組みが組み込まれています。問題を早期に発見して改善する「継続的な品質向上」が特徴で、スピードと柔軟性を両立します。
ただし、チームに一定の開発力・コミュニケーション能力が求められるため、組織の成熟度が成果のばらつきに影響します。
アジャイルが向いているプロジェクトの特徴
要件が変動する可能性が高い場合
新規事業や市場ニーズが不確実な領域では、開発途中でアイデアが変化することが多く、アジャイルの柔軟さが大きく活きます。UI/UX改善、機能価値検証、顧客インタビューを通じた仕様変更などが日常的に行われるプロジェクトでは、反復型のアプローチが効果的です。
スピード重視で価値提供を優先したい場合
大規模リリースを待つのではなく、機能単位で早期に価値を提供することで市場投入までの時間(Time to Market)を大幅に短縮できます。競争が激しい領域ではスピードが競争力そのものにつながるため、アジャイルの小さなリリースを繰り返す方式が適しています。
少人数チーム・対話主体で進める現場
アジャイルでは、開発者・デザイナー・プロダクトオーナーが密に連携し、日々の進行で意思決定を下す必要があります。迅速な判断や柔軟な対応がしやすい“少数精鋭の自律型チーム”ではアジャイルのメリットが最大化されます。
ウォーターフォールが向いているプロジェクトの特徴
要件が初期段階で明確に固まっている場合
要件変更が想定されない案件では、ウォーターフォールの計画性と工程管理が非常に有効です。法制度に沿った機能開発や、業務要件が20年以上変わらない基幹システム刷新などは典型例です。
大規模・高信頼性・厳格な管理が必要なケース
航空、医療、金融などの領域では高い信頼性が求められ、多数のステークホルダーが関わる案件も多いため、ウォーターフォール型での工程管理が適しています。変更管理プロセスも整っているため、組織全体として品質とガバナンスを確保しやすいメリットがあります。
ドキュメント中心で進む組織文化
ウォーターフォールはドキュメントと審査プロセスが軸になるため、組織の規模が大きく承認フローが複雑な企業でも整合性を取りやすい特徴があります。外部監査やISO認証が必要な企業ではウォーターフォールが採用される傾向が強くなります。
手法選定の判断基準と使い分けのポイント
プロジェクト特性に応じた判断軸
プロジェクトが持つ特性によって最適な手法は明確に異なります。
・要件の変動度
・システムの重要度
・ユーザーの関与度
・技術的な不確実性
・プロジェクト規模
これらを総合的に判断して選ぶ必要があります。
PoCフェーズではアジャイル、本番開発ではウォーターフォールという使い分けも一般的です。
体制・スキルセットから見た選び方
アジャイル開発にはスキルの高いメンバーが必要であり、コミュニケーションや自律的な判断が重要です。経験者が少ない場合は、いきなりアジャイルを全面採用するよりウォーターフォールで段階的に進める方がリスクを抑えられます。
逆に、すでにアジャイル文化が根づいたチームでは、ウォーターフォールに戻すことが非効率な場合もあります。
役割や意思決定の責任範囲が曖昧なまま導入すると、判断が遅れ、かえって非効率になるケースもあります。そのため、事前に体制や権限設計を整理しておくことが欠かせません。
ハイブリッド型(アジャイル+ウォーターフォール)の活用可能性
近年、多くの企業が両手法を組み合わせています。
例:
・上流工程はウォーターフォールで要件定義を固める
・開発フェーズはアジャイルで進める
このような進め方は「ハイブリッド開発」として整理されることが多く、状況によっては「Water-Scrum-Fall」のようなパターンが採られることもあります。
まとめ
アジャイルとウォーターフォールは、それぞれに明確な強みと適した領域があります。重要なのは、プロジェクトの目的、要件の確実性、体制の成熟度など、多面的な観点から最適な手法を選択することです。本記事で紹介した比較ポイントや判断軸を活用し、自社にとって最も成功率の高い開発手法を選んでください。
開発手法についてお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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