アジャイル開発のスケジュールとは?立て方とイテレーションの進め方をわかりやすく解説

公開日:2026/01/15 更新日:2026/01/15
  • Web開発

アジャイル開発のスケジュールとは?立て方とイテレーションの進め方をわかりやすく解説

公開日:2026/01/15 更新日:2026/01/15
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初めに

アジャイル開発では「スケジュールをどう考えるべきか」が分かりにくいと感じる人は少なくありません。ウォーターフォール型のように、プロジェクト開始時点で要件・工程・期限をすべて確定させる進め方とは異なり、アジャイル開発では変化を前提とした進行が求められます。そのため、「最初に決めない=計画が曖昧」「進捗が見えないのではないか」といった不安や誤解が生じやすいのが実情です。
しかし、アジャイル開発は決して無計画な開発手法ではありません。むしろ、不確実性の高い状況においても価値提供を継続するために、スケジュールの考え方や計画の立て方が体系化されています。重要なのは、すべてを固定することではなく、「どこまでを決め、どこからを柔軟にするか」という設計思想を理解することです。
本記事では、アジャイル開発におけるスケジュールの基本的な考え方を整理したうえで、実務で活用できる立て方や、イテレーションを前提とした進め方、さらに現場で起こりがちな失敗例までを含めて、体系的に解説します。アジャイル開発をこれから導入する方はもちろん、すでに実践しているもののスケジュール運用に課題を感じている方にも参考になる内容です。

アジャイル開発におけるスケジュールの基本的な考え方

アジャイル開発のスケジュールは、従来型開発と同じ発想で捉えると理解しづらくなります。まずは、アジャイル開発特有の前提となる考え方を整理することが重要です。

ウォーターフォール型とのスケジュールの違い

ウォーターフォール型では、要件定義・基本設計・詳細設計・実装・テスト・リリースといった工程を直線的に進めることが前提となります。そのため、プロジェクト開始時点で全体スケジュールを確定させ、各工程の開始日と終了日を明確にするのが一般的です。この方式は、要件が安定しており、変更が少ないプロジェクトでは高い管理性を発揮します。

一方、アジャイル開発では、要件や優先順位が途中で変わることを前提とします。市場環境の変化やユーザーからのフィードバック、ビジネス上の判断によって、開発すべき機能や価値が変わることは珍しくありません。そのため、最初から詳細な工程表を固定してしまうと、変更のたびに計画全体を見直す必要が生じ、結果として非効率になります。

アジャイル開発では、短い期間(イテレーションやスプリント)を単位として計画・実行・評価を繰り返します。全体の方向性は示しつつも、詳細な作業内容は直近のサイクルに集中して計画することで、変化に柔軟に対応できるスケジュール管理を実現します。

アジャイル開発でスケジュールを固定しない理由

アジャイル開発で過度に固定しない主対象は、主に「スコープ(何を作るか)」です。一方で、スクラムなど多くのアジャイル手法では「期間(タイムボックス)やスプリント長」は固定するのが一般的です。最大の理由は「価値の最大化」を重視している点にあります。開発初期段階では、何が本当にユーザーにとって価値があるのかを完全に把握することは困難です。仮説に基づいて作った機能が、実際には使われなかったり、別の改善点が浮かび上がったりすることも少なくありません。

もし、最初に決めたスケジュールや機能一覧を絶対視してしまうと、価値の低い機能であっても計画どおり作り続けてしまうリスクがあります。アジャイル開発では、こうした状況を避けるために、スケジュールや計画に一定の余白を持たせ、学習結果を次の計画に反映できる構造を採用しています。

また、チームの作業速度や生産性は、実際にイテレーションを回してみないと正確には把握できません。初期段階で無理なスケジュールを固定してしまうと、品質低下やメンバーの疲弊につながる可能性があります。スケジュールを柔軟に扱うことは、持続可能な開発を行ううえでも重要な考え方です。

アジャイル開発でスケジュールを立てる目的

「アジャイル=計画しない」という誤解を持たれることもありますが、実際にはアジャイル開発でも明確な目的を持ってスケジュールを立てます。目的を理解することで、適切な粒度と柔軟性を備えた計画が可能になります。

進捗管理と予測のためのスケジュール

アジャイル開発におけるスケジュールは、進捗管理と将来予測のための重要なツールです。イテレーションごとに「どれだけの作業が完了したか」を把握することで、チームの実際の作業速度(ベロシティ)を測定できます。

このベロシティを継続的に観測することで、「このペースで進めば、あと何イテレーションでどこまで到達できるか」といった見通しを立てることが可能になります。これは、厳密な期限を約束するためのものではなく、現実的な予測を行い、必要に応じてスコープや優先順位を調整するための材料となります。なお、ベロシティはチーム体制・スプリント長・見積もり基準が大きく変わらない場合に有効な参考指標であり、将来を確約するものではありません。また、ベロシティはチームの評価や他チーム比較の指標として使うべきではなく、計画や見通しを立てるための内部指標として扱うのが基本です。

進捗が可視化されることで、問題の早期発見にもつながります。予定より進みが遅い場合は、作業量の見積もりやプロセスに課題がある可能性を検討できますし、逆に余裕がある場合は、価値の高い改善を追加する判断も可能になります。

関係者と合意形成するためのスケジュール

アジャイル開発であっても、経営層や顧客、他部門といった関係者との合意形成は不可欠です。スケジュールは、プロジェクトの現状や今後の見通しを共有するための共通言語として機能します。

特に、リリース時期やマイルストーンの目安を示すことで、関係者はビジネス上の判断や準備を進めやすくなります。重要なのは、「確定した約束」として提示するのではなく、「現時点での見通し」であることを明確にすることです。

アジャイル開発では、スケジュールを通じて透明性を高め、変更が生じた場合でも納得感を持って調整できる関係性を築くことが求められます。

アジャイル開発のスケジュールの立て方

実務においてアジャイル開発のスケジュールを立てる際は、全体像と短期計画を分けて考えることが重要なポイントになります。

全体計画と短期計画を分けて考える

まず、プロジェクト全体として「どのような価値を、どの順番で提供していくか」という大枠の計画を立てます。これは、数か月単位、あるいはリリース単位での方向性を示すものであり、詳細な作業レベルまで落とし込む必要はありません。

一方で、短期計画では、次のイテレーションで何を実装するのかを具体的に決めます。タスクの粒度は、チームが確実に完了できるレベルまで分解し、期間内に収まるように調整します。

このように、長期的には柔軟性を保ちつつ、短期的には具体性を持たせることで、現実的かつ変更に強いスケジュール運用が可能になります。

リリース計画とスプリント計画の関係

リリース計画は、「どのタイミングで、どの価値をユーザーに届けるか」を示す計画です。必ずしもすべての機能を網羅する必要はなく、ビジネス上重要な価値を優先的に整理します。

一方、スプリント計画は、直近の短期間でチームが取り組む作業内容を具体化するものです。リリース計画で示された方向性をもとに、優先度の高い項目からスプリントに落とし込んでいきます。

両者を切り離して考えるのではなく、リリース計画を定期的に見直しながら、スプリント計画に反映させることで、戦略と実行のズレを最小限に抑えることができます。

イテレーションを前提とした進め方

アジャイル開発のスケジュールは、イテレーションを軸に回していくことが前提となります。このサイクルを安定して回せるかどうかが、プロジェクトの成否を左右します。

イテレーションの基本構造

(スクラムを例にすると)スプリントは、スプリントプランニング → 開発(デイリースクラムを含む)→ スプリントレビュー → レトロスペクティブという一連の流れで構成されます。計画では、期間内に取り組む作業を明確にし、実装フェーズで実際の開発を行います。

レビューでは、完成した成果物を関係者に共有し、フィードバックを得ます。このフィードバックは、次のイテレーション以降の計画に反映されます。最後に振り返りを行い、プロセスやチームの進め方について改善点を洗い出します。

この一連の流れを繰り返すことで、単に機能を増やすだけでなく、開発プロセスそのものを継続的に改善していくことが可能になります。

スプリントを安定して回すためのポイント

スプリントを安定させるためには、まず作業量の見積もり精度を高めることが重要です。過度に楽観的な見積もりは、スプリント途中での計画崩れを招きます。過去の実績をもとに、現実的な作業量を設定することが求められます。

また、スプリント期間中に安易な作業追加を行わないことも重要です。緊急対応が必要な場合を除き、計画外の作業は次のスプリントに回すことで、リズムを崩さずに進めることができます。

振り返りで出た改善点を実際の行動に落とし込み、小さな改善を積み重ねることが、長期的な安定運用につながります。

アジャイル開発のスケジュールでよくある失敗

スケジュール設計を誤ると、アジャイル開発の利点を十分に活かすことができなくなります。ここでは、現場でよく見られる失敗例を整理します。

計画を立てなさすぎるケース

「アジャイルだから計画はいらない」という誤解のもと、最低限のスケジュールすら立てないケースがあります。この場合、進捗が不透明になり、チーム内外で不安や不信感が生じやすくなります。

計画がないと、優先順位の判断基準が曖昧になり、場当たり的な対応が増えてしまいます。アジャイル開発においても、方向性と短期的な目標を示す計画は不可欠です。

スケジュールを固定しすぎるケース

一方で、ウォーターフォール型の発想を引きずり、スケジュールを厳密に固定してしまうケースもあります。この場合、変更が発生した際に柔軟な対応ができず、結果として価値提供が遅れることがあります。

アジャイル開発のスケジュールは、調整可能であることが前提です。定期的に見直しを行い、現状に合わせて更新していく姿勢が求められます。

まとめ

アジャイル開発のスケジュールは、「決めすぎず、決めなさすぎない」バランスが重要です。全体の方向性を示しつつ、短期的な計画を通じて現実的な進行管理を行うことで、変化に強い開発体制を構築できます。

自社や自チームの状況、プロジェクトの特性に応じて考え方を取捨選択し、スケジュール運用を継続的に改善していくことが、アジャイル開発を成功に導く鍵となります。もし、アジャイル開発のスケジュール設計やイテレーションの進め方について整理したい場合は、チーム内での振り返り結果や過去の実績をもとに、前提条件(期間・体制・優先順位の扱い)を言語化して見直すことで、より実践的で納得感のある運用につなげることができるでしょう。

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