EDRとは?エンドポイントセキュリティの基本・仕組み・導入メリットを徹底解説

公開日:2025/12/26 更新日:2026/02/09

EDRとは?エンドポイントセキュリティの基本・仕組み・導入メリットを徹底解説

公開日:2025/12/26 更新日:2026/02/09

初めに

近年、ランサムウェアや標的型攻撃の増加により、企業における端末(PC・サーバー)へのセキュリティ対策が重要性を増しています。従来型のアンチウイルスだけでは高度な攻撃を検知・対応することが難しくなり、EDR(Endpoint Detection and Response)の導入が注目されています。本記事では、EDRの基本概念、仕組み、メリット、導入時のポイントを具体例とともに解説し、自社のエンドポイントセキュリティ強化に役立つ情報を提供します。

EDRの基本概念

EDRとは何か

EDR(Endpoint Detection and Response)は、端末単位で発生する脅威を検知し、必要に応じて自動または管理者による対応を行うセキュリティソリューションです。ここでいう「端末」とは、PCやサーバー、ノートパソコン、モバイル端末など、企業ネットワークに接続される全ての機器を指します。EDRは、単なるウイルス対策ソフトの延長ではなく、サイバー攻撃の痕跡をリアルタイムで監視・分析し、異常検知後に対処まで行える点が特徴です。

具体的には、EDRは以下の3つの機能を中心に設計されています。

 

  • 監視・検知:端末上で発生する不審な挙動や攻撃の兆候をリアルタイムで監視
  • 分析・追跡:収集したデータをもとに、攻撃の種類や発生経路を分析
  • 対応・修復:感染端末の隔離、プロセス停止、パッチ適用など、攻撃への自動または管理者による対策

 

EDRは攻撃が発生した後に対応するだけでなく、兆候を早期に検知することで被害拡大を防ぎます。

従来のセキュリティ製品との違い

従来型のセキュリティ製品は、シグネチャベースで既知のマルウェアを検知する仕組みが中心でした。しかし高度化する攻撃手法では、新種マルウェアや標的型攻撃を事前に検知することが困難です。

シングルモード型のセキュリティ製品では以下の制約があります。

 

  • ウイルス対策ソフト:既知のマルウェアにしか対応できず、未知の攻撃には無力
  • ファイアウォール:ネットワーク通信を制御できるが、端末上の挙動までは把握できない
  • アンチスパム・フィルタ:メールや特定の通信だけに限定した防御

 

一方でEDRは、端末上での振る舞いデータをリアルタイムに収集・分析することで、未知の攻撃や内部脅威にも対応可能です。これにより、単なる防御から能動的な検知・対応へとセキュリティ対策を進化させることができます。

EDRとEPP・XDRの違い

エンドポイントセキュリティには、EPP・EDR・XDRといった複数の概念がありますが、それぞれ担う役割は異なります。

 

  • EPP(Endpoint Protection Platform) は、マルウェアや不正プログラムの侵入を防ぐことを目的としたセキュリティ対策です。従来のアンチウイルス製品を含め、既知の脅威を中心に端末を保護します。
  • EDR(Endpoint Detection and Response) は、端末に侵入した脅威や不審な挙動を検知し、原因分析や対処まで行う仕組みです。侵入後の振る舞いを監視するため、未知の攻撃やファイルレス攻撃にも対応できます。
  • XDR(Extended Detection and Response) は、EDRを基盤として、メール、ネットワーク、クラウドなど複数のセキュリティ領域のログを横断的に分析する仕組みです。単一の端末だけでなく、組織全体の脅威を可視化することを目的としています。

それぞれの違いを整理すると、以下のようになります。

 

項目 EPP EDR XDR
主な目的 脅威の侵入防止 侵入後の検知・対応 組織全体の脅威可視化
対象範囲 エンドポイント エンドポイント 端末・ネットワーク・クラウド等
検知方法 シグネチャ中心 挙動・振る舞い分析 複数データの相関分析
インシデント調査 困難 詳細に可能 横断的に可能
単体導入の実現性 高い 中程度 低い
推奨される使い方 EDRと併用 EPPと併用 SOC/MDRと併用

 

本記事では、EDRとは何かをわかりやすく解説し、EPP・XDRとの違いや導入メリット、費用目安、運用時の注意点まで網羅してきました。サイバー攻撃が高度化する中で、企業が取るべきエンドポイント対策を理解するうえで、EDRは重要な選択肢のひとつです。

EDRの主要機能と役割

EDRの導入によって得られる代表的なメリットとして、次の機能が挙げられます。

 

  • 不審挙動の検知:ファイル操作やプロセス動作などを監視し、通常とは異なる動きを検知
  • インシデントの可視化:攻撃の発生場所、経路、影響範囲を可視化して迅速な判断を支援
  • 自動対応:攻撃を受けた端末の隔離やプロセス停止を自動で実行
  • レポート生成:セキュリティ担当者向けに状況報告や改善策の提示

 

これらの機能により、従来のセキュリティでは発見が難しかった攻撃も早期に把握でき、被害拡大の防止が可能になります。

エンドポイントセキュリティの重要性

サイバー攻撃の最新動向

近年のサイバー攻撃は、標的型攻撃やランサムウェア、サプライチェーン攻撃など、高度で巧妙な手法が増えています。特に企業における端末は攻撃の入り口となるケースが多く、社員のPCやモバイル端末が感染すると、ネットワーク全体に被害が拡大する恐れがあります。こうした背景から、端末単位での監視・防御の重要性が高まっています。

端末ごとのリスクと影響

端末単位のセキュリティリスクとしては、以下が挙げられます。

 

  • 業務用PCの感染:社内ネットワークを経由して他端末に感染が広がる
  • モバイル端末の紛失・盗難:端末に保存された機密情報の漏洩
  • サーバーの脆弱性:攻撃者が管理権限を取得すると、全社データへのアクセスが可能

 

これらのリスクは、情報漏洩や業務停止といった大きな損害につながる可能性があります。

企業における情報漏洩の課題

情報漏洩が発生した場合、以下のような問題が発生します。

 

  • 顧客情報の流出による信用失墜
  • 規制違反による法的制裁や罰金
  • 復旧作業や対応コストの増加

 

EDRの導入は、これらの課題を軽減し、企業の情報資産を安全に守る手段として有効です。

EDRの仕組み

データ収集とモニタリング

EDRは端末上で発生するあらゆる挙動データを収集し、リアルタイムで監視します。具体的には、ファイルの作成・変更・削除、プロセスの実行、ネットワーク通信などを取得し、不審な動きを検知します。このデータ収集はクラウド連携型の管理コンソールに送られ、統合的に分析されます。

攻撃検知のプロセス

EDRによる攻撃検知は以下のステップで行われます。

 

  • 異常行動検知
    通常の業務で起こりえない操作やプロセスの挙動を検出します。
  • 相関分析
    他端末やログとの連携情報を分析し、攻撃の全体像を把握します。
  • 脅威の分類
    マルウェア感染や内部不正など、攻撃の種類や深刻度を分類します。
  • 対応アクション提案
    自動隔離やプロセス停止など、最適な対応策を提示します。

 

このプロセスにより、EDRは従来のウイルス対策では発見できなかった高度な攻撃にも対応可能です。

レスポンスと復旧

EDRは検知だけでなく、攻撃へのレスポンスも重要です。感染端末をネットワークから隔離したり、攻撃プロセスを停止させたりすることで被害拡大を防ぎます。また、感染の痕跡を記録し、復旧作業の効率化や再発防止にも役立ちます。

EDR導入のメリット

高度な脅威への対応

従来のアンチウイルスは既知のマルウェア署名をもとに検知する仕組みのため、攻撃者が手口を変えた未知の脅威や、正規のツールを悪用する「ファイルレス攻撃」には十分な対策ができません。その点、EDRは端末上で発生する挙動そのものを解析するため、たとえ初見の攻撃であっても「通常と異なる動き」から異常を検知できます。

標的型攻撃、ゼロデイ攻撃、内部不正といった高度な脅威は、気づいた時には被害が拡大しているケースが多く、初動の遅れが企業の信頼失墜にも直結します。EDRのリアルタイム監視と分析機能があれば、こうしたリスクを大幅に低減でき、被害を最小限に抑えることが可能です。

インシデント対応の効率化

セキュリティインシデントでは、「何が起きているのか」「影響範囲はどこまでか」を早急に判断することが重要ですが、従来はログが点在しているため、担当者が手作業で確認せざるを得ませんでした。EDRは端末の状態を一元的に管理できるため、疑わしい挙動があれば即座にアラートを出し、関連端末・アクセス履歴・攻撃経路を自動で紐づけて可視化します。

これにより、原因追跡の時間が大きく短縮され、担当者は調査ではなく「対応」にリソースを集中できます。また、ワンクリックで端末隔離やプロセス停止が実行できるため、被害の拡大を防ぐスピードも向上します。結果的に、属人的な対応に頼らず、組織全体のセキュリティ運用レベルを底上げすることにつながります。

コンプライアンス遵守の支援

個人情報保護法、ISO27001、NISTなど、企業が守るべきセキュリティ基準は年々高度化しています。特に「アクセスの記録」「不正操作の特定」「端末ごとのログ保全」は、多くの監査で必ず確認される項目です。

EDRは端末の操作ログを継続的に取得し、証跡として保存できるため、監査時に必要な情報を迅速に提示できます。また、不審な動きがあった際に詳細なログをさかのぼって確認できるため、インシデント後の説明責任(アカウンタビリティ)にも対応しやすく、ガバナンス強化にも寄与します。金融・医療・公共系など、規制が厳しい業界では特に導入効果が大きい領域です。

コスト削減

セキュリティ対策は一見コストがかかるように見えますが、EDRの導入は長期的には大幅なコスト削減につながります。情報漏洩やランサムウェアによる業務停止は、直接的な損害に加えて顧客離れや信用低下といった“見えない損失”をもたらすため、一度のインシデントで数百万円〜数億円規模の影響が出ることも珍しくありません。

EDRにより脅威を早期に察知して封じ込められれば、こうした損害を未然に防げます。また、手作業で行われていた調査・隔離作業が自動化されることで、セキュリティ担当者の工数が削減され、人件費や外部調査費用の圧縮にも効果があります。限られたリソースで最大限のセキュリティレベルを維持できる点は、特に中小企業にとって大きなメリットとなります。

EDR導入時の注意点・落とし穴

アラート過多による運用負荷

EDRは端末の挙動を詳細に監視するため、導入初期はアラートが多く発生しやすい傾向があります。適切なチューニングを行わないまま運用を始めると、重要なアラートが埋もれてしまい、かえって対応が遅れる可能性があります。

導入初期は誤検知を前提とし、段階的にルールやポリシーを調整していくことが重要です。

運用体制が整っていないと効果が出にくい

EDRは「入れれば終わり」の製品ではありません。アラートを確認し、原因を分析し、適切な対応を判断できる体制がなければ、本来の効果を発揮できません。

専任のセキュリティ担当者がいない場合や、24時間体制での監視が難しい場合は、MDR(Managed Detection and Response) などの運用支援サービスの活用も検討すべきです。

EDRだけで万全と誤解しない

EDRは侵入後の検知・対応に強みを持ちますが、侵入そのものを防ぐ役割は限定的です。そのため、EPPやファイアウォール、メールセキュリティなど、他の対策と組み合わせて運用することが前提となります。

EDRを導入したことで他のセキュリティ対策を過度に削減してしまうと、かえってリスクが高まる可能性があります。

導入時のポイント

目的に合わせた製品選定

EDRを導入する際は、自社のセキュリティポリシーやリスクに合った製品を選ぶことが重要です。選定の際には以下を確認します。

 

  • 対応端末の種類(Windows、Mac、モバイルなど)
  • 自動対応機能の有無
  • クラウド管理の可否
  • 過去の脅威検知実績

 

目的に沿った製品選定は、導入効果を最大化する鍵となります。

運用体制の整備

EDRは導入するだけでは十分な効果を発揮しません。日々の運用体制を整えることが重要です。

 

  • インシデント対応フローの策定
  • 定期的な脅威情報の更新
  • 社員への教育・啓発
  • モデルやポリシーのチューニング

 

これにより、EDRを最大限に活用し、企業のセキュリティレベルを向上させることができます。

PoC(概念実証)の実施

導入前にPoCを実施し、実際の環境での効果を確認することが推奨されます。小規模でテストを行い、運用上の課題や対応手順を洗い出すことで、本格導入時のリスクを低減できます。

EDR導入にかかる費用と期間の目安

EDR導入費用の目安

EDRの導入費用は、端末台数や機能範囲、運用体制によって変動しますが、一般的には1端末あたりの月額費用として提供されるケースが多くなっています。

目安としては以下の通りです。

 

企業規模 端末台数 費用目安
小規模企業 〜100台 月額 数百円〜数千円/台
中堅企業 100〜1,000台 月額 数百円〜数千円/台
大企業 1,000台以上 要個別見積

 

機能を絞ったEDRであれば比較的低コストで導入できますが、自動対応機能や高度な分析機能、サポート体制を含める場合は費用が高くなる傾向があります。また、MDR(運用代行サービス)を併用する場合は、別途月額費用が発生する点にも注意が必要です。

導入から運用開始までの期間

EDRはクラウド型で提供されることが多く、導入自体は比較的短期間で完了します。

一般的な流れと期間の目安は以下の通りです。

 

  • PoC(概念実証):1〜2か月
  • 本番導入準備(ポリシー設定・端末展開):2〜4週間
  • 運用定着(チューニング・ルール調整):1〜3か月

 

小規模な環境であれば数週間で運用を開始できるケースもありますが、端末台数が多い場合や、既存セキュリティ製品との併用・移行が必要な場合は、十分な検証期間を確保することが重要です。

EDRの運用事例

自立型EDRによる情シス運用の効率化

日本のソリューション提供企業である株式会社エーアイは、従来のウイルス対策では「誤検知」「アップデート管理の手間」「OSバージョン更新への対応遅延」などの運用負荷を課題として抱えていました。

そこで、自立型EDRソリューション SentinelOne を導入しました。AIによる自動対応と、専業ベンダーによる運用支援の組み合わせにより、夜間や休日を含む時間帯でのセキュリティアラート対応が可能になり、情シス部門の負荷を大幅に減らすことに成功しました。

この結果、従来型のアンチウイルスに依存した運用から脱却し、限られた社内リソースでも安定したセキュリティ体制を維持できるようになったという報告があります。

(参考:プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES )

EDR導入で誤検知と侵入対策を強化

製造業者の高砂香料工業では、定期的なシステム基盤の更改タイミングで、エンドポイントセキュリティを見直す必要が生じました。従来のセキュリティ製品では、マルウェア対策に限られており、近年増加している巧妙で未知の攻撃(ファイルレス攻撃など)に不安を抱えていたのです。

この背景から、同社は改めてEDRの導入を決定しました。既存のセキュリティ製品が抱えていた「誤検知」「正当ファイルの誤判定」などの問題を解消しつつ、攻撃検知からその対応まで見直すことで、運用効率と防御力の両立を目指しました。

このように、インフラ刷新のタイミングを契機にEDRを導入することで、セキュリティ水準の底上げと運用負荷の最適化を同時に実現した好例です。

(参考:高砂香料工業株式会社 )

 

中堅メーカーでのコストパフォーマンス重視の選択

自動車用ファスナーなどを製造する中堅の製造業、株式会社杉浦製作所では、端末台数約500台を対象に、EDRとして Cybereason EDR を導入しました。

当初は既存のアンチウイルス対策を使っていましたが、ランサムウェアや未知の脅威を想定したセキュリティ強化の必要性からEDR導入を決定しました。導入後は、高度な攻撃対策を実現しつつ、コストパフォーマンスの高さから、比較的小規模〜中規模組織においても導入しやすい選択肢となっています。

また、同社ではアンチウイルス製品との併用が可能であったため、既存運用を大きく変えることなくスムーズな移行が実現した、という報告があります。

(参考:サイバーリーズン合同会社 )

 

※本章で紹介している事例は公開情報をもとに一般化した内容であり、特定の製品やサービスの導入を推奨するものではありません。

まとめ

EDR(Endpoint Detection and Response)は、端末単位での高度な脅威検知・分析・対応を可能にする次世代のセキュリティソリューションです。従来のアンチウイルスでは防げなかった標的型攻撃や未知のマルウェアに対しても有効であり、企業の情報資産を守る重要な役割を担います。

導入の際には、製品選定や運用体制の整備、PoCによる事前検証が不可欠です。適切に運用することで、インシデント対応の効率化、法令遵守、コスト削減といった具体的な成果を得ることができます。

EDRの導入は、単なる防御策ではなく、企業全体の情報セキュリティレベルを向上させる戦略的な取り組みです。端末単位での監視と迅速な対応を実現し、企業のサイバーリスクを最小化するための不可欠な技術として注目されています。

 

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