【2025年最新版】AWS・Azure・GCP を徹底比較|メリット・料金・用途別の最適クラウドがわかる決定版
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はじめに
2024〜2025 年にかけては、AI/ML、データ分析、セキュリティ、サーバーレス、FinOps(コスト最適化)といった分野で、3 社の方向性がさらに鮮明になっています。本記事では、AWS・Azure・GCP の違いを体系的に整理し、機能・料金・用途ごとに最適なクラウドが判断できるよう、実務者の視点で比較していきます。
目次
AWS・Azure・GCP を比較する前に押さえるべき基本
3大クラウドの市場シェアと特徴
クラウド市場は今なお成長を続けており、特に IaaS(インフラ)および PaaS(プラットフォーム)分野では AWS・Azure・GCP の3社が圧倒的な存在感を示しています。2025年10月末時点の調査(米Synergy、ITmedia記事)による市場シェアは以下のとおりです。
- AWS:約29%
世界最大シェアを維持し、スタートアップからグローバル企業まで広く利用されています。サービス数が非常に多く、成熟度・信頼性・グローバル展開・コミュニティの厚みもトップクラスです。 - Azure:約20%
Microsoft 365 や Windows Server を利用する企業との親和性が高く、特にエンタープライズ領域で強みを発揮します。 - GCP:約13%
AWS・Azureに次ぐ第3勢力でありながら、AI/ML・データ分析・コンテナ技術の分野で高い評価を受け、特にエンジニア層からの支持が厚いクラウドです。
3社の特徴を要約すると…
| 項目 | AWS | Azure | GCP |
|---|---|---|---|
| 市場ボジション | 最大シェア・最も成熟 | エンタープライズに強い | AI・データ分析が強み |
| 強み | サービス数/信頼性/グローバル展開 | Microsoft製品との深い統合 | BigQuery/AI/コンテナ |
| 弱み | 機能が多く複雑 | 一部サービスの成熟度にばらつき | サービス数は他社より少なく、独自性が強い |
市場シェアは単なる人気の指標ではなく、サードパーティ対応、技術者コミュニティの厚み、採用コストなどにも影響するため、クラウド選定の参考指標として重要です。
クラウド選定で必ず比較すべきポイント
クラウドサービスは表面的には似ていますが、実際には設計思想や得意分野が大きく異なります。特に以下の5点は選定時の重要な比較軸です。
1. サービスの種類・幅広さ・成熟度
同じカテゴリーのサービスでも、クラウドによって機能や使い方が大きく異なります。コンテナ・AI・ネットワーク・データベースは差が出やすい領域であり、自社の要件と合致しているか慎重に見極める必要があります。
2. 料金体系とコスト最適化のしやすさ
クラウド料金は単なる月額比較では判断できません。
従量課金・予約割引の仕組み、スケーリング方法、割引適用の手間などにより、総コストは大きく変動します。
3. セキュリティ・コンプライアンス
業種によって求められる認証(ISO、SOC、PCI DSS、HIPAA、FISC など)が異なり、クラウドごとに対応範囲も違います。
Azure は官公庁・金融に強く、AWS は国際認証が最も多い点が特徴です。
4. 運用体制・サポート品質
障害時の対応はビジネス継続性に直結します。
AWS はドキュメントやナレッジ量が豊富、Azure は Microsoft 製品と一元化されたサポート、GCP は AI を活用したサポートが特徴です。
5. 既存資産との親和性
Windows Server や Active Directory を利用している企業では、Azure を選ぶことで移行・運用の負荷が大幅に低減します。既存環境との統合は、クラウド選定の大きな決め手になります。
オンプレとの違いとクラウドのメリット
クラウドの価値を最大化するためには、オンプレミスとの根本的な違いを理解しておく必要があります。
オンプレとの比較でのクラウドの主なメリット
- 初期費用ゼロ(設備投資不要)
物理サーバー購入やラック設置が不要。 - 拡張性・柔軟性が圧倒的に高い
トラフィック急増や業務拡大にも即時対応可能。 - 運用負荷の大幅削減
OSやミドルウェアの更新も自動化可能。 - 最新技術(AI/ML、分析基盤)を即時利用
BigQuery や SageMaker、Fabric などはオンプレで構築すると莫大なコストが必要。 - 災害対策や冗長化を容易に実現
マルチAZ、リージョン分散などを設定するだけで高可用性を確保できます。
これらのメリットは、企業規模や業種を問わず DX 化を進めるうえで不可欠な基盤となります。
AWS・Azure・GCP の機能比較
コンピューティング機能の違い
クラウドの基盤となるコンピューティング(サーバー機能)は、各社とも豊富ですが思想が異なります。
- AWS:EC2/Fargate/Lambda
サーバー・コンテナ・サーバーレスまで圧倒的に選択肢が多く、成熟度も高い。 - Azure:Virtual Machines/App Service/Functions
.NET アプリや Windows ベースアプリに最適化されており企業利用に強い。 - GCP:Compute Engine/Cloud Run/GKE
Cloud Run と GKE のスケール性能、起動速度、簡易さは特に評価が高い。
【GCPがコンテナに強い理由】
Google は Kubernetes を開発した企業であり、GKE はクラスタ管理やオートスケール性能が最も安定していると言われます。
ストレージ・データベースの比較
ストレージ機能はどのクラウドにも共通していますが、性能や料金体系には差があります。
| 項目 | AWS | Azure | GCP |
|---|---|---|---|
| オブジェクトストレージ | S3 | Blob Storage | Cloud Storage |
| RDB | RDS | Azure SQL Database | Cloud SQL |
| NoSQL | DynamoDB | Cosmos DB | Firestore/Bigtable |
| 特徴 | 最も豊富で成熟 | Microsoft製品との統合 | 分析×NoSQL が強い |
特に Azure Cosmos DB はグローバル分散・マルチモデル DB として強力な選択肢であり、GCP の BigQuery + Bigtable は分析分野で高い評価を受ける代表的な構成です。
ネットワーク・セキュリティ機能の比較
ネットワークはクラウド運用の要であり、各社で思想が異なります。
AWS
- IAM の権限管理が最も細かい
- VPC が早期から成熟している
- マルチアカウント戦略が強力
Azure
- Azure AD(Entra ID)との統合が圧倒的
- 大企業の権限管理と相性抜群
GCP
- “BeyondCorp” を起点としたゼロトラスト思想
- シンプルでミスが少ないネットワーク設計が可能
どのクラウドを選ぶかでセキュリティアーキテクチャは大きく変わるため、既存システムとの整合性は慎重に考慮する必要があります。
AWS・Azure・GCP の料金比較
料金体系の基本と考え方
クラウドの料金は原則「使った分だけ課金」ですが、割引方法や最適化手段は各社で異なります。
- AWS:Savings Plans/RI
割引率が高いが、適用時の構成が複雑で管理コストがかかることも。 - Azure:Hybrid Benefit
Windows Server や SQL Server のライセンスを持つ企業は大幅割引を受けられるため、企業システム移行に有利です。 - GCP:Committed Use Discount(CUD)
長期利用で自動的に割引が適用されるため、管理負荷が少ない料金モデル。
用途・稼働率・契約形態によって最も安価なクラウドは変化します。
主要サービスの料金比較(EC2/VM/Compute Engine など)
一般的な傾向は次のとおりです。
- AWS:割引なしだとやや高めだが柔軟性は最大
- Azure:Windows/SQL Server のコストが特に安い
- GCP:利用時間に応じて自動割引(Sustained Use)が入り、管理が楽
利用用途や稼働率によって、最も安いクラウドは変動します。
コスト最適化のポイント
クラウドは仕組みを理解して使わないとコストが膨らむことも多いため、最適化が重要になります。
- オートスケーリング・自動停止の活用
- 適切なインスタンスタイプ選定
- ストレージ階層化(低頻度アクセス等)
- サーバーレス化で固定費削減
- 予約割引の活用
- FinOpsツールを使った可視化
公式ツールとしては以下が利用できます。
- AWS:Compute Optimizer
- Azure:Advisor
- GCP:Recommender
用途別に最適なクラウド選び
Webサービス・アプリ開発に最適なクラウド
- AWS:最も無難で強い
Web開発から業務システム、ゲーム、IoT まで幅広く対応でき、情報量も多いため最初の選択として無難で強いプラットフォームです。
- Azure:企業システム寄りのWebアプリに最適
特に .NET / C# や Windows 系環境との親和性が高いため、既存 Microsoft ベースの企業システムをそのままクラウド化するケースで選ばれます。
- GCP:スケーラブルなアプリに強い
Cloud Run の爆速スケールは他社と比べても特徴的で、少ない構成で大規模アクセスをさばきやすい点が魅力です。スタートアップやモダン開発との相性が良いクラウドといえます。
データ分析・AI/ML に強いクラウド
データ分析・AI 分野では GCP が高い評価を受けています。
- BigQuery:SQLでペタバイト級の高速分析
- Vertex AI:統合されたAI開発環境
- Bigtable:大規模NoSQL処理
ただし、AWS も SageMaker によってAI分野を強化中であり、Azure も Microsoft Fabric により統合分析基盤の刷新を進めています。競争は拮抗しており、「最強」と断言するよりも「方向性と得意分野が明確に異なる」と捉えるのが現実的です。
企業システム・業務アプリに向くクラウド
企業がクラウド移行する際重要なのは「既存資産との連携」です。
- Azure:Active Directory・Windows Server 連携が圧倒的
- AWS:移行ツールが充実しスムーズ
- GCP:企業利用は拡大中だが、独自性が強い
オンプレ資産を活かしたい企業ほど Azure を選ぶ傾向があります。
AWS・Azure・GCP のメリット・デメリットまとめと選定のポイント
AWSの強み・弱み
強み
- サービス数が圧倒的に豊富
- 世界最大のクラウドエコシステム
- 高信頼性・高可用性
弱み
- 複雑で学習コストが高い
- 料金体系が分かりづらい
Azureの強み・弱み
強み
- Microsoft 製品との完全統合
- 企業システムの移行が容易
- ガバナンス・権限周りが強力
弱み
- 一部サービスの成熟度にばらつき
- ドキュメントやコミュニティ量はAWSに劣る
GCPの強み・弱み
強み
- BigQuery・AI 分野が最強
- コンテナ技術のリーダー
- シンプルで分かりやすい料金体系
弱み
- サービス種類は少なめ
- 企業向け導入実績は他社より少ない
まとめ
本記事では AWS・Azure・GCP の特徴・料金・得意分野・用途別の向き不向きを整理し、クラウド選定の重要な判断ポイントを解説しました。クラウドはサービスごとに強みが異なるため、「どれが最も優れているか」ではなく、次のような自社要件との適合性が最も重要になります。
- 現在のシステム構成や技術スタック
- 開発・運用チームのスキルやリソース
- 求められるセキュリティ基準や可用性
- 維持コストと将来的な拡張方針
これらを総合的に評価することで、自社に最も適したクラウドを選択できるようになります。また、クラウド環境は導入して終わりではなく、運用・最適化を通じて継続的に価値が高まっていきます。将来のビジネス成長を見据えながら、長期的に運用しやすいクラウド環境を構築していくことが大切です。
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