2019.8.23
グラフィックデザインの仕事 〜ビジュアル制作編〜
米田龍平

2019年8月現在、弊社ではデザイナーを募集しています。
そのプロジェクトの一環で仕事のご紹介をさせていただいております。

第2弾はビジュアル制作編です。

前回はグラフィックデザインのロゴ制作について解説させていただきました。
今回はキービジュアル制作についてお話しさせていただきます。

グラフィックデザインにおけるキービジュアル制作はまさに「花形」と言っていい仕事だと思います。特に構図から関わらせていただくことがあればなおデザイン力が試される仕事です。

まず、キービジュアルとは、そのタイトルの名札となる画像のことです。
タイトルによっては時期や予算により数種類あるものもあります。
解禁された後は、その用途は主に「ポスター」「チラシ」「webサイト」「サムネイル」など多くの宣伝物に使用され、また、BDやDVD、いろいろなグッズに使用されます。

弊社で過去担当させていただいたキービジュアルはたとえば下記のようのものがあります。

今回、ご紹介させていただく案件はエイベックス様が手掛ける新バーチャルプロジェクト『言霊少女』というタイトルです。
その中でプロジェクトに登場する女子高生4人組バーチャルラップユニット「Microphone Soul Spinners」のキービジュアル(ロゴも一緒に)を取り上げさせていただきます。

キービジュアルの制作は大きく分けて2つのパターンがあります。
(1)アニメーションスタジオがイラストを制作するタイプ
(2)宣伝担当の方とゼロから一緒に制作するタイプ

今回はデザイナーが関わるタイプである(2)についてお話しいたします。

さっそく、制作についてお話しさせていただきますが、こちらが制作するキャラクターイラストはあくまでラフです。本番はキャラクターデザイナーが制作します。
また、本タイトルは通常のキービジュアル制作よりも工夫や工程数が多いタイプです。あらかじめそういうイメージでお読みください。

ではさっそく、完成までの工程をご紹介します。

【1】ロゴ制作

まず進めたのが、ロゴ制作です。
(ロゴ制作についての詳細は省略させていただきます。前回の~ロゴ編~をご覧ください)

このタイトルは「ヒップホップ」であり、その世界観は「グラフィティ」と位置づけロゴ案を考えました。そして、その世界に詳しいイラストが描けるメンバーにお願いしました。

上がってきたロゴをイラストレーターでトレースしこの段階で一度色付けし納品しました。

【2】構図を考える

次にビジュアルで一番大切な工程である「構図」についてです。一言で構図と言っても、ただキャラクターのポーズや人数を決めるだけではありません。
構図を決めるとは【ユーザーに伝える情報・状況を整理すること】です。
(↑ここが一番難しく、ここだけでいつか講座します)

本タイトルで求められている条件は、「4人の主要キャラクターがいて、そのキャラクターがデビューするビジュアル」であることです。そこで、情報・状況を下記のように膨らまし、言語化してみました。絵が描けない僕にとっては言語化が重要です。
「どこかのアメコミヒーローが飛んでいそうなニューヨークをイメージさせるビル群、車の窓から見上げると真上には「Microphone Soul Spinners」の電飾が目立つビルが。 よく見ると電飾の上に並ぶ4人、注視した次の瞬間、真下のハイウェイに向かってまさかの大ジャンプ!!それは4人の衝撃的で華々しいデビューの瞬間だった!」

言語化することで、構図のメンバーへの共有と各所への説明も簡単になります。そして、言語になったタイミングで、女性キャラクターを描くことができるメンバーにお願いしました。

【3】ラフに色を付ける

構図案が決まったら色をつけます。提案する際に絶対に色をつける必要はないと思います、線画だけでも十分な場合もあります。ただ、本タイトルはこの後の工程であるライティングのイメージをわかりやすく提案するために色をつけました。

【4】背景を合成する

続いて背景について考えます。背景の制作も2つのパターンがあり、
(1)アニメーションスタジオが背景を制作するタイプ
(2)委託されこちらで合成するタイプ

今回はデザイナーが関わる(2)についてお話しいたします。

弊社で行う場合、背景合成はラフ提案用に一旦社内で仮合成し、最終的に【8】でレタッチャーさんに合成をお願いします。
本タイトルは素材サイトで素材を購入し、そこから合成用のビル群を集め、切り貼りしながら制作しました。これも合成が上手なデザイナーにお願いしました。

絵が描けないし、合成も苦手なので、いつもお願いばっかり。。。

【5】ラフにライティングを付ける

(※ライティング=照明をコントロールすること)

ビジュアルを提案するのに、構図の次に重要な工程は「ライティング」だと思います。
このライティングの説明がない場合、よく言う「アニメ塗り」と言われる塗りでキャラが上がってくることがあり、それだけでビジュアルがとてもペタッとした印象を受けてしまいます。
そのため、ライティングを説明するために本タイトルは詳細なラフを制作しました。イメージを描いていただく方にしっかりと説明することが重要だと思います。

ここで、この構図の最も工夫した点として、【1】で制作したロゴを、ビジュアル版に色や形を変え落とし込み、ビルの一部として入れ込んだことです。通常では、ビジュアルとロゴは分けて見せることは多いですが、ビルの電飾として入れ込むことで、ロゴ、キャラ、背景が一体化し、より違和感のない、かつインパクトあるビジュアルになります。

【6】ラフの完成まで

キャラクターと背景を合成します。ここはくっつけるだけのシンプルな作業です。この段階で色付けのラフは2方向での検討になり、結果、右側のラフになりました。

【7】企画書の制作

僕らが直接プレゼンをしないことも多く、宣伝プロデューサーが代わりに説明をする時のために企画書を制作するようにしています。
構図の言語化、キャラクターの表情、ライティングの資料と説明などなど。ラフ絵だけでは伝わらない部分を言語化し企画書としてまとめます。

 

 

(この間)
エイベックス様の確認があり、数回のやりとりがあります。
そして、OKが出ると、次はキャラクターデザイナーに発注を行い、ここでも数回の出し戻しがあり、最終的なキャラクターのイラストが完成します。

【8】レタッチ

本番のイラストが上がったところで、ここから先はレタッチャーさんにお願いをします。毎回、レタッチャーさんにお願いするわけではありませんが、本タイトルでは、僕ら側での背景制作であり、かつ実写の写真を使用したため「背景の合成」「キャラクターのライティング」「合わせた時の自然なイメージづくり」をお願いしました。

こちらも数回の出し戻しがあり、その後、納品していただきます。

 

完成

この【1】〜【8】の工程を経て、ビジュアルが完成します。

 

 

<完成ビジュアル>

いかがでしたでしょうか?
ビジュアル一つの制作にこれだけの工程があり、こだわりがあり、多くのメンバーが関わっています。ぜひ、そんな視点で世の中のビジュアルをご覧いただければ幸いです。

そして、このようなクオリティを求めていらっしゃるクライアントの皆さま、デザイン制作に関わりたいと考えていらっしゃるデザイナーの皆さま、ご興味を持たれましたらご連絡お待ちしております。

 

STAFF

アートディレクション:米田 龍平(Y’s)
ロゴデザイン:片山 里香(Y’s)
レタッチ:櫻井 喜明(Ristretto Inc.)
背景デザイン:河野 朱美(Y’s)
ライティング構成:佐藤 光秀(Y’s)
キャラクターポーズデザイン:髙橋 拓也(Y’s)


Special Thanks

クライアント:エイベックス・ピクチャーズ株式会社
キャラクター原案:ヤスダスズヒト
イラスト:寿ノ原(スタジオエンカウント)


© 言霊少女プロジェクト2019

 

制作実績の「言霊少女ページ」にて、キービジュアルの制作過程をまとめた動画が公開中です!
このブログで掲載した工程をぎゅぎゅっとまとめたスペシャルムービーになっていますので、ぜひご覧ください!

チーム一丸となって作り上げるものづくりに興味のある方、ぜひ弊社で働いてみませんか?
採用に関するお問い合わせは採用お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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