2020.4.13

“デザインうまい”ってなに?

たかたく

こんにちは、Creative-divマネージャー兼デザイナーのたかたくこと高橋です。

今回は、デザイナーとして誰もが感じる悩みについての話です。

私のCreative-divのマネージャーの仕事の一つに、メンバーとの定期面談があり、
メンバーのスキルを確認したり、目標を考えたり、悩み事の相談や今後のキャリアについて一緒に考えたりしています。

 先日、新卒1年目のデザイナーと面談を行った際、
「デザインがまだまだで、もっとうまくなりたい」と悩んでいました。

デザイナーなら誰しも思うありふれた悩みで、もちろん私もいまだに思います。デザイナーならたぶん一生抱えていく悩みではないでしょうか。
それだけデザインは突き詰めれば生涯かかる世界で、新卒ならなおのこと当たり前。気にせず精進しよう!とつい言ってしまいそうになるのですが、そこでふと思いました。

“デザインうまい”って何?

デザインうまくなりたいってみんな言うけれど、そもそもデザインがうまい状態って定義できるんでしょうか?

デザインという言葉自体が多様化し、広義になっている現在。デザインの意味を定義することで論争が起きるくらいです。そのうえ、うまい。何と抽象的なんでしょう。それなのに、みんなデザインうまくなりたいんです。そりゃ悩みます。答える方も悩みます。そこで、この漠然とした悩みに向き合う方法を僕なりに考えてみることにしました。

もくじ

“デザインうまい”を具体化する

まず「デザインがうまい」がどういうことかを、できるだけ具体的に考えてみましょう。おそらく、ここに答えはありません。先に述べたように“デザインうまい”が非常に抽象的でふんわりした概念なので、これを定義することは極めて主観的になります。ですので、自分なりの“デザインうまい”を決めてしまいましょう。

ここが意外と漠然としているデザイナーが多く、しっかりと掘り下げて言葉で定義できている方は少ないかもしれません。
定義を考えていく際には、下記のような切り口で考えると良いと思います。

① 職能(スキル)から考える

“デザインうまい”状態をデザイナーに求められるスキルとして分解し、そのパラメータのバランスから理想のデザイナーを定義する考え方です。

例えば、Y’sでは「デザイナー養成シート」というスキルシートでデザイナーの能力特性を可視化し、教育や目標設定に活用しています。
このシートでは、デザイナーの業務フローの各段階で用いられる能力を分解整理し、大きく下記のカテゴリに分類しています。

Y’sデザイナーに求められる能力分類

  1. 解決力
  2. 話術力
  3. 人間力
  4. 教育力
  5. 技術力
  6. 知力

各能力はさらに具体的に「〇〇ができる」という形で細分化され、各項目ごとに自分がどれくらいできているかをチェックしています。
できていることは得意なこととして評価し、できていないところを目標として設定することで、日々の仕事の中で改善できるよう意識します。

スキルを指標化することで足りないところを明確にする

このように、具体的なスキルを指標とすることで、現状の自分との比較がしやすく、足りないところが明確にわかるため、成長を実感しやすく、悩みにくくなります。
理想像の描き方も、スキルの達成度をグラフ化することで、ある分野のスキルに特化したI字型、得意分野を中心に幅広く対応できる逆T字型や逆Y字型、オールラウンドなフラット型など、スキルバランスでデザイナーごとの個性を設定しやすくなります。

② 提供価値から考える

“デザインうまい”を、デザインというサービスを提供する相手(クライアントやエンドユーザー)に対してどんな価値を提供したいかで定義する考え方です。

例えば、

  • 人に感動を与えるデザイナー
  • ユーザーの「使いにくい」を解消するデザイナー
  • おいしさを伝えるデザイナー
  • 難しいことをわかりやすくするデザイナー
  • 商品をとにかく売れるようにするデザイナー
  • ブランドの戦略を作れるデザイナー

といった感じです。
この考え方の良いところは、デザインを目的に対する手段として捉えられるので、必ずデザインの先に結果が伴うことです。

デザインを依頼する側から見ると、「この人にデザインをお願いするとこんな結果が得られる」という価値やメリットが明解でわかりやすい。デザイナーとしてセルフブランディングや差別化をし、仕事を獲得していく上で良い考え方です。

③ 人物や作風から考える

“デザインうまい”を、自分なりに確立された個性として定義する考え方です。
デザインしたものには、おのずとその人なりの個性が滲み出るものです。
今でこそデザインは問題解決の手法として捉えられるようになってきましたが、その成果物は視覚的・美的側面が印象の多くを占めるため、見る人が感じる主観的な「好み」で価値判断されることは往々にしてあります。

デザインはアートではありませんが、アートと重なる部分を持っていることは否定できません。そのため、作家的な面で好きになってもらうこと、ファンになってもらうことも一つの手です。

デザインはBtoBサービスなので、見積もりや納期、サービス内容などから複数の人間から総合的に判断されて発注されるのが基本ですが、実際は担当者の好みや、紹介や人間関係などの信頼や信用で名指し発注されることも多くあります。(それが正しいかは別として…)

一人のデザイナーとして好きなってもらう

一人のデザイナーとして好きになってもらうこともまた重要な戦略になるのです。
この方向で考える場合やりやすい方法は、「憧れのデザイナー」を見つけることです。これは複数いて構いません。異なるジャンルで見つけるのも良いでしょう。

このデザイナーの作品のこんなところが好き、こんなスタンスや考え方が好き、人としてのふるまいや人間性が好き、という共感をたくさん自分の中に取り入れることで、その中で自分のものとして融合し定着していくものがあるはずです。それが次第に自分の個性として昇華していくのだと思います。

ステップで整理する

これらの考え方は、“デザインうまい”状態になるためのステップとして整理することもできます。うまくなるためには、おおまかに下記のステップが考えられると思います。

  1. 目指したい理想像、あるべき姿を考える
  2. 必要な能力を分解する
  3. 現在の自分とのギャップを測る
  4. どうやったらその差を埋められるか考える。

1のステップには提供価値や人物や作風からの考え方、
2〜4のステップには職能(スキル)からの考え方
で考えていくと、整理しやすいかもしれません。

まずは現状を把握し、目の前の問題に取り組む

どこに向かうにしても、まず必要になるのは現在地を把握することです。
現在地がわかり、目的地がわかって、はじめて交通手段や道筋を考えることができます。

現状の仕事の中で、何ができていないのか、何が足りないのか?を考え、まずは目の前にある問題を解決すること。“デザインうまくない”を見つけて潰していくこともまた、“デザインうまい”になるための方法の一つです。

ここで紹介したのは、あくまで私見の一部に過ぎません。
他にももっと良い考え方があるかもしれません。ぜひ皆さんも自分に合った考え方で、自分の“デザインうまい”を定義してみてください。

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