2020.3.30

目が離せないワンカットで撮られた映像たち

みつ

こんにちは!
Creative Div.動画制作を担当しているみつです。

今回はワンカット、もしくは長回しと呼ばれる撮影の手法について紹介したいと思います。

先日公開されたばかりの映画「1917 命をかけた伝令」でも、このワンカットが全編にわたり使用されており、話題になってますね。

 

ワンカットとは

その名の通り長い間カメラを回し続け一つのカットに収める撮影手法のことです。

どのくらいの時間回し続けていれば長回しと呼ぶのか、明確な定義はありません。
(長いな〜と思えばそれはワンカットです)

この手法にはカットせずにカメラを回し続けることにより、役者の緊張感や映像の臨場感を維持し続けることができるという効果があると言われており、
視聴者は見始めると目を離すことが出来ない為、広告等においても有効だと言えます。

前述した映画「1917 命をかけた伝令」ではこの手法が約2時間にわたり使用されており、
戦場でいつ撃たれるやも知れぬ銃声に怯える主人公の緊張感や、戦場の土臭さ、むせ返りそうな塹壕の砂埃を主人公と同じように体験することが出来ます。
(この映画は非常に長いカットを巧妙に繋いでいるので正確には”ワンカット風”ですが)

ワンカットは大変

ワンカットは編集段階においてカット繋ぎの必要がないので、
エディターとしてはその点少し楽です。

ですが、撮影はかなり大変です。

演者がセリフを間違えれば最初から撮り直し
カメラがPAN(※)するタイミングを間違えれば撮り直し
フォーカス送りが遅れてピントがずれたら撮り直し

スタッフもキャストも全員が集中し続けなければ成し遂げられない非常に難易度の高い撮影手法になります。

※PAN:カメラを固定したまま、フレーミングを水平方向、または垂直方向に移動させる技法
(引用元:ウィキペディア(Wikipedia)より)

ワンカットを用いた映像作品

今回、その大変なワンカットという手法が用いられた映像作品を個人的に選びました。
どれもこれも前述した血の滲むような努力の結晶です。

The Sunday Times

イギリスの新聞社「The Sunday Times」のプロモーションビデオ。

本紙にはアート、音楽、映画、テレビの4つのジャンルが掲載されており、それぞれの象徴となるモノをワンカットで表現しています。
(見覚えのあるモノがあるのではないでしょうか)

カメラ、美術、ライティング、演技、全てのタイミングが計算されており非常にスムーズで美しい映像に仕上がっています。

サカナクション / アルクアラウンド

サカナクション「アルクアラウンド」のミュージックビデオ。

タイトルにちなんでボーカルの山口さんが街を歩きながら、あらかじめセットされた立体文字のギミックが曲に合わせて次々と出現していきます。

ワンカットという手法に加えて立体文字のギミックが効いていて、非常に見応えのある映像になっています。

そしていつのまにか一周して最初の場所に戻ってきて、「アルクアラウンド」というタイトルを回収する演出も見事です。

欅坂46 『黒い羊』

 

欅坂46「黒い羊」のミュージックビデオ。
メンバーとエキストラがタイミングを合わせて次々と演技を行なっていきます。

映像としては単調になりがちなワンカットですが、本作はカメラが忙しなく縦横無尽に動き続けることで映像に緩急が付いています。

ワンカットの中に凄まじい量の情報が詰まっており、何度も見返して意味を考察したくなる大変味わい深い映像になっています。

Everyone You Know “The Drive”

イギリスのバンドEveryone You Know「The Drive」のミュージックビデオ。

ワイドレンズで車の中をぐるぐる回りながら撮影していると、車が回り出したり後部座席の人数が増えていたり……。

ワンカットならではの面白い演出。

風を待つ / STU48

STU48「風を待つ」のミュージックビデオ。

階段だらけの入り組んだ尾道を舞台に、駆け上がったり踊ったりするメンバーを、DJI Inspire 2を使って空撮と手持ちを器用に切り替えて撮影しています。

ドローンという最新の機材と、オペレーターの高度な操縦技術が成せる新しいワンカット動画の形だと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
ワンカットで撮られた映像はそれだけで見応えがありますが、

その裏の凄まじい試行錯誤と、本番に臨むスタッフと演者の努力を想像すると、より一層感慨深いものになりますね。

  • TWEET!
  • SHARE!